大震災から2ヶ月、進まない復興
2011年 05月 12日
■東日本大震災からちょうど2ヶ月が過ぎた。死者、行方不明者は膨大な数にのぼり、被災地にはがれきが放置されたまま。仮設の住宅もほとんど出来ていない。福島原発の事故が加わり、こちらにはアメリカや財界が深くからんでいるので菅政権は原発への対処に精一杯で、ほかの被災地の対策がまったく不十分である。その原発だが、打つ手なしの状態が続く。
■いくら「未曾有の大震災」といっても、「経済大国」を自認する先進国である。被災地の復興がこれほど進まないのは、政府、行政の責任である、といってもよい。復興がすすまない理由はいくつもあるであろうが、そのひとつは政府与党の民主党がふたつに割れていることだ。こういうときこそ挙党一致で事にあたらなければいけないのに。
■菅首相は政権交代の立役者の小沢一郎氏およびその影響下にある議員らを無視し排除し、野党と連立を組もうとしたりした。そんな姑息なやり方がうまくいくはずもなく、挫折した。問われているのは指導力であり、一貫性である。ところが、菅氏の「思いつき」「場当たり的パフォーマンス」ばかりが先行し、事の本質からずれた政策がじつに多い。
■政権維持、支持率をあげるためのパフォーマンスが多すぎるのである。復興構想会議などいろいろな会議、委員会をつくったが、本人もよく覚えていないほどの多さである。司令塔が分散する結果を招いただけで、効果は薄い。会議会議で仕事をやっている気にはなっているが、いまだガレキの山また山。政権運営に慣れていないところに、大震災の発生である。あわてふためくのもわからなくもないが、大変な非常時のときのトップリーダーである。堅い信念と実行力を発揮してもらわないと。
■こういうときこそ、政権中枢にながくいて経験豊かな小沢一郎氏およびその一派を活用すべきなのだが、それをしない。政権基盤が弱いので、財務省やアメリカに頼ろうとしているようだ。が、足下を見られ、いいように振り付けされている。菅氏と仲がよかった「噂の真相」の岡留元編集長もブログであきれあてている。
■被災地への対策も不十分すぎるが、福島の原発事故への対応も感心しない。原発推進なのか、脱原発なのかも、どうもはっきりしない。だから有効な政策を打てない。そんななか、放射能汚染はどこまでひろがり、いつまで続くか東電の当事者ですあわからない。初期の危機意識が希薄であったため、有効な対策をうてず、禍根をのこすことになってしまた。日本はこれからどうなるのか。心ある人は嘆き、将来を危ぶんでいる。
■日本が奈落の底に落ちず、すこしでも復興の形をしめすためにも菅氏にやって欲しいことは、ただひとつ。早めに退陣を決意することである。そうすれば、空気が変わる。今の日本に必要なのは、鬱の空気を吹き飛ばすことである。原発をすべてやめるという決断も、空気をかえる上では有効かもしれない。やめる勇気が今の菅氏ほど必要な人はいない。