海外に工場などを移転してしまうと脅しをかける識者等は異国での多大なリスクを忘れている
2011年 10月 19日
■よく、労働政策そのほかで、「そんな政策を実行したら、日本の企業が外国にいってしまう」といった脅しともとれることを、政治家や官僚、ご用学者が口にする。彼らは国外に生産拠点を移すことにともなう多大なリスクを閑却している。タイの大洪水で日本系企業も多大の被害を受けているようだ。世界で日本ほど安全な国はないいといってよい。夜中に女性が一人で歩いても犯罪にほとんどまきこまれない。そんな国は世界を見渡してもほとんどない。まさに日本が誇るべきことである。
■中国でも東南アジアでもいい、外国に生産拠点をうつすことで、思いがけぬマイナスの事態に直面する確率は国内に比べ、数十倍高いのではないか。政変や暴動、法律の改変等々、外国に逃げた企業がどれほど重いリスクを背負うことになるか。そのことについて、「そんなことをしたら企業が外国に逃げる」などという人は敢えて言及しない。
■「富裕層」も逃げ出すなどと主張する人やマスコミ。マルコス政権時代のフィリピン並みになったということか。海外に逃げた「富裕層」で、幸せに暮らしている人はそう多くはない。逃げたい人は、どうぞ、出て行ってください。これでいいではないか。「富裕層」が国内に激減したら、日本の空気もかわる。空気がかわれば社会のシステムも変わっていき、数字の上では貧乏でも案外、住みやすい社会になるかもしれない。
■外国に逃げる企業は富裕層は放っておけ、である。そういう企業や人はもう日本に戻ってこなくていい。もっとも、富裕層は預金や金融関係の資産のみ、海外に「逃がし」、国内に住み続けるのだろうが。いずれにしても、世界的に、従来の「アメリカ式市場原理主義」が破綻していることは否定できない。アングロサクソンの主導してきたシステムが、端的に破綻しつつあるということである。
■破綻の先に構築すべき新しいシステムが未だ形をとってきていない。日本こそ、次の時代の新しいシステムのモデルを示すべきなのだが。旧弊に固執する「官」にまかせていては、不可能。。やはり「民」から新しい動きを生み出さないと。