コラム


by katorishu
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銀座でiPhoneのバッテリーを交換したあと、映画『ニューイヤーズ・イブ』を見た

 12月23日(金)
■iPhone、バッテリーの不具合がつづき、携帯はほかにもっていないので、仕事にもさしさわりがでる。で、銀座のアップル直営店に足を運んだ。長く待たされるかと思ったら、4階のテクニカルセンターで15分くらいで新品のiPhoneと交換してくれた。従業員も多く、みんなきびきびとして気持ちがよい。交換の値段も、大井町のソフトバンクでは9000円以上するといわれたが、銀座のアップル直営店では68000円。やっぱり直営店にいかないと駄目、とあらためて思ったことだった。

■アップルへについての悪い印象がやや改善した。そのあと仕事をしようと思ったが、カミサンも一緒であったので丸の内ピカデリーでハリウッド映画『ニューイヤーズ・イブ』を見た。ニューヨークに住む男女8人の群像劇。ロバート・デニーロ、ヒラリー・スワンクなどアカデミー賞受賞スターらが出演。タイムズスクエアで行われた年越しカウントダウンイベント中に撮影をしたとのこと。気軽に楽しめる「ハーフ・コメディ」とでもいった作。ご都合主義のエンターテインメントでとくに感銘はないが、たまにほこういう映画も気休めにはなる。





画面にネオンサインなどの形で繰り返し「TOSHIBA」の文字が現れた。それとTDKの文字も。背景にさりげなく写ることはよくあるが、あれだけ意識的にTOSHIBAが流れると、東芝が出資しているのだろうなと思ってしまう。客は5割ほど。大きな映画館であり、それだけ入れば上々だろう。たまたま1920年代のアメリカ社会を描いた『オンリー・イエスタディ』(F.Lアレン著)を読んでいるので、「アメリカ」という国のことをさまざまに考えながら見た。

■20年代から1930年代にかけて、今のアメリカの基盤というものができあがった、とぼくは理解している。第一次世界大戦でアメリカは戦勝国となり、いわば「漁夫の利」をえて、ヨーロッパに大きく差をつけた。以来、今日まで「世界の最強国」として、アメリカは君臨しつづけた。そんなアメリカの基盤は、オンリー・イエスタディで描かれた時代に築かれた、といっていいだろう。この時代は誇大宣伝の時代であり、禁酒法とアル・カポネの時代である。繁栄と爛熟の時代であったが、やがて大恐慌に見舞われる。

■アメリカの20年代文化の影響をもろに受けたのが日本である。関東大震災のあとの復興景気と大不況のなか、大都市を中心に「アメリナイズ」が定着した。日本のアメリカ化に、なにより影響をあたえたのは、ハリウッド映画である。アメリカ化の流れのなか、「日本モダニズム」が生まれ、やがて「昭和エログロナンセンス」の徒花へとつながる。アメリカ好きの国民が、最後はアメリカとの戦争にまで至ってしまうのである。歴史の大なる皮肉としかいいようがない。アメリカの20年代と、日本の20年代30年代を比較対象すると、大変面白い論文が書けそうだ。この時代の世相についての連載は、原稿が遅れに遅れたこともあって、新春になる見込み。ともあれ、震災後、暗かった銀座はやや明るさを取り戻した。
by katorishu | 2011-12-23 21:38 | 映画演劇