コラム


by katorishu
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ロバート・デニーロ,モニカ・ベルッチ主演のオムニバス映画「昼下がり、ローマの恋」は面白い

  3月25日(日
■映画は映画館でみるものだ、と改めて思う。シネスイッチ銀座で「昼下がり、ローマの恋」を見た。映画館だと集中して見るので中身がすっと胸に入ってくる。この映画、面白かった。監督・脚本はジョヴァンニ・ヴェロネージ。イタリアのトスカーナ生まれの才能豊かな人だ。ぼくは小説でも映画でもテレビドラマでも「短編」が好きなので、オムニバス映画はなるべく見ることにしている。作り手にとって、短編は中長編以上にむずかしいものだ。

■1編が30数分で計3本。第1話はトスカーナの田舎を舞台の弁護士が主人公の若者の恋、2話はテレビのニュースキャスターが主人公の中年の恋。精神分析の女性医師だと思ってつきあった女性が患者であり、主人公は破滅していく。ハッピーエンドでないところもラテン的。3話はアメリカの大学を定年退職してローマにやってきた歴史学者の老年の恋をあつかった作品。ロバート・デニーロとモニカ・ベルッチは3話にでている。

■3話も悪くなかったが、ぼくは1話と2話が抜群に面白く、笑えて癒された。コメディタッチながら、哀愁を感じさせる。明るく陽気で、うるさくて、ちょっと悲しく、切ない。かねてからラテン系の文化にはシンパシーを覚えていてたとえばアルベルト・モラビアの背徳的な小説など愛読していた。イタリア語かスペイン語を専攻していれば、その後の人生もかわったのに、と映画を見ながら口惜しく思ったことだった。テンポがよく、笑わせつつ男女の機微にふれ、思わずニコッとさせられる映画がラテン系には多い。残念ながら日本映画には、このペーソスがない。
 このところやや落ち込んでいただけに、大いに癒された。今週で銀座での上映は終わってしまうが、おすすめの映画である。5点満点で4・5点。
by katorishu | 2012-03-25 21:03 | 映画演劇