コラム


by katorishu
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国会図書館がGHQの指令で作られた事を知ってますか。それが今日本文化に大きく貢献している。

12月8日(土)
◼このところ国会図書館に毎週のように足を運んでいる。もちろん調べ物をするためである。国会図書館では戦前の図書や雑誌を中心にデジタル化が進み、以前より短時間に必要な資料に行きつける。ただ、良いことばかりではない。デジタルになると、紙の資料のように手に触ることができないし、質感がわからない。コピーをすると写真が鮮明ではなく、「現物」には遠く及ばない。古い本や雑誌は劣化もひどくデジタル化するしかないのだが、写真の不鮮明さにはいつも苛立つ。光があれば陰があるものである。

◼ここ8年ほど脚本アーカイブスに関わったため、アーカイブス関係者、研究者に知り合いができ、シンポジウムに参加したり意見交換をしたりする。世界的にアーカイブスがトレンドになっているが、先進国のなかでは日本はもっとも遅れている。前の長尾館長には何度かお会いし、脚本アーカイブスの必要性を訴えたりした。京都大学の元総長でデジタル化の専門家だけあって、最初お会いした時から、脚本アーカイブスに大賛成で、おかげさまで前向きにすすみつつある。

◼本日も朝から国会図書館で戦前の文化・世相についてしらべた。大変面白い情報が多く、5時間ほどがあっという間に過ぎる。ところで、国会図書館がアメリカ占領軍の指令で作られたことを知る人は少ないのではないか。当時、日本の出版関係者の多くが設立に反対したことも。納本制度という法律で「召し上げられる」などけしからんというのである。しかしマッカーサー元帥の意志は「天の意志」であり、国会図書館国会議事堂の裏手に有無を言わせず創設された。GHQがやったことは評価できないことも多いが、国会図書館の設立はもっとも評価すべき柱のひとる。

■今、国会図書館の恩恵をもっとも受けているのは出版界だろう。さらにや研究者、物書き、学生等。特にドキュメンタリーやノンフィクションを書く上で、国会図書館にある膨大な資料がどれほど役立っていることか。ぼくは身を持って感じている。国会で法律をつくる場合にも国会図書館は縁の下の力持ちになっている。残念ながら、議員連中より霞ヶ関の官僚たちのほうがよく利用していると思うが。

◼なにを言いたいかというと、物事の価値は、それが人類、民族にとって本当に価値のある場合、短い期間で判断できないし、してはいけないということだ。今日本は大きな曲がり角にきている。16日の総選挙は大変大事な選択になるとおもうが、残念ながら「国家百年の計」を考えて政治家になろうとする人は、数えるほどだ。ベストはいないが、ベターというより、ワーストにならない政策を、口先だけだはなく、実行できる人や党に投票したいものだ。マスコミ情報は「参考程度」に留めておくことが賢明というものである。
by katorishu | 2012-12-08 17:59 | 文化一般