コラム


by katorishu
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中国の深刻な大気汚染は他人事ではなく、「科学文明」に頼る国家に共通の重要課題

1月23日(水)
■世界的に社会や国家の運営システムを、根本から考え直すべき時にきている。金融資本主義が世界を覆い、科学文明の発達をもたらし、それで多くの人が幸せになる、はずであった。ところが科学文明の究極の到達点のシンボルであった原発が、福島で人類にとって災いをもたらす厄介なものであることがわかってしまった。

■科学文明のもたらす便利さ効率の良さが、かえって人類に害をもたらす。この皮肉な現象が世界の至るところで顕在化してきた。その一つに中国の深刻な大気汚染がある。中国共産党中央委員会機関紙「人民日報」日本語版は《深刻な濃霧は、中国の経済成長モデルがもはや維持できないことを改めて示している。過去30数年にわたり、中国は「高汚染、高エネルギー消費、汚染物資の高排出」という「3高」の成長モデルによりかかり、一部の地域ではGDPを無計画に追求して環境保護に配慮してこなかった。このため今になって経済成長の苦い果実を味わっている》と記した。

■自己の非や悪い点は徹底的に隠す中国の指導的メディアが、反省の弁を掲載するのは異例であり、大気汚染がいかに深刻かを物語る。日本は風下にあるので、いずれ深刻な影響を受ける。中国に限らずこのまま経済最優先を続けると、地上は人間の住むに適さない所だらけになる。エコ装置や空気浄化装置を改良しても焼け石に水。自動車がもたらす化石燃料の過剰な消費一つとっても大問題である。

■ 恐らく深刻すぎる汚染が中国経済の急成長にブレーキをかけることになり、似たことがインドや人口の多い開発途上国に及び、さらにブーメランのように先進国に還ってくるだろう。江戸のエコ社会を体験している日本こそ率先して、危機回避の新しい社会運営システムを提言いくことが、今ほど大事な時はない。
by katorishu | 2013-01-23 17:39 | 社会問題