コラム


by katorishu
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レクラム舎公演『あなたと見た映画の夜』を見た

4月14日(日)
■パソコンに向かっている時間が長いせいか、眼精疲労に陥っている。以前は数時間ぶっつづけでパソコンで原稿を書いていても、なんでもなかったのだが、今は1時間ほどで目がかすんでくる。本当は1時間ごとに10分ほど休みをとって、遠くや緑を見たりするほうがいのだろう。「生活習慣病」ではないが、長年の習慣が目の疲れに顕在化しているようだ。

■昨日、世田谷線松陰神社駅近くにある小さな劇場スタジオARで、レクラム舎公演『あなたと見た映画の夜』を見た。レクラム舎独特のアングラ的要素のない、「映画の思い出」にまつわる淡泊な素材と展開。映画ファンにはこたえられない内容だが、取り上げられた映画を見ていないと、なかなか入っていきにくいのではないか。僕としては、やはりレクラム舎らしい、奇妙な味の、不条理の要素をまじえた内容のほうが面白い。人の趣味は一様ではなく、蓼食う虫も好き好きで、いろいろなので、新しい試みは、悪いことではないが。枯れた方向に向かわないことを望みたい。

■テレビや映画にもいえることだが、いま多くの人の心をとらえるのは、一語で記せば「妖」である。昭和初期と今の世相を比較した「昭和エロ・グロ・ナンセンス」を連載し、膨大な文献を読んだ結果、導き出した「仮説」である。その仮説が現実を見ていると、実証されていくようだ。逆に考えれば、それだけ今という時代が「病んでいる」証拠である。

■一方で、自転車ブームが起きている。本日午前中、スポーツサイクルでツーリングをするグループをいくつも見かけた。昭和初期も、エロ・グロ・ナンセンスに対置して「健康ブーム」「スポーツブーム」が起こった。戦前は不幸にも「妖」を退治する流れが過剰に強くなり、「ピュア」を建前の軍国主義が台頭した。ナチスの主張の柱は「浄化」であり「きれい」「汚いものの排除・殲滅」であった。世相が昭和初期にますます似てきていることに、ぼく自身は興味深いと思う一方で、やや懸念を抱く。
by katorishu | 2013-04-14 13:45 | 映画演劇