コラム


by katorishu
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専用端末(ビューワー)が1000万台を超えると電子書籍に劇的な変化が。3年後あたりか

 8月14日(水)
■相変わらずの猛暑。高知の四万十など4日連続で気温40度をこえたという。まさに異常というしかない。亜熱帯の沖縄では37度以上になったことは一度もないという。日本列島は一部をのぞいて亜熱帯となったといってよい。暑いので早朝に生活をシフトしている。午前中、外で4時間ちかく原稿執筆。そのうち2時間は北品川の広いコーヒー店。満席になることはほとんどないので、ボクのような長居の客でも他に迷惑になることは少ない。なにしろ週に4,5回は足をはこぶ「常連客」なのだから。

■こういう店は、ボクにとって「世相ウオッチ」になる。最近目立つのは男性の一人客。そのうち半分以上は恐らく定年退職した人ではないか。圧倒的多くが読書をしている。ひところは文庫それも時代小説の文庫を読んでいる人が多かったが、最近はハードカバーの本を読んでいる人も多い。内容まではわからないが、ビジネス書ではなく、小説や文化関連の本のようだ。これは歓迎すべき傾向で、ちょっと希望がもてる。マンガを読んでいる人はゼロに近い。早朝だと新聞が多いが、昼近くになると単行本を読む客が増える。このへん旧東海道の沿道の住民が多く、とくに「知的な人」が多く住んでいる地域でもない。東京のごく平均的な場所だと思うがビジネスマンも多い地域だが。





■本当は電子書籍の端末で読むと意外に目が疲れないし長編でもよみやすいのだが。専用の端末で読んでいる人は、このコーヒー店に限っては極めて希。例えばアマゾンのKINDLEのビューアーが年間5,60万個売れているとか。(正確な数字ではない)。人口に比べてこれでは少ない。電子書籍の端末、ビューアーが、例えば人口の一割、つまり1000万台を超えたとき、電子書籍を読む人がは劇的に増える、と予想しておく。

■端末には電子書籍が1000冊ぐらい入るし、とにかく持ち運びに便利。文字を自由に拡大できるので、視力の衰えた人にも読みやすい。さらに音声で読めるようになれば、飛躍的に電子書籍は増え、アメリカ並みに紙の本を凌駕する。拙作「昭和エロ・グロ・ナンセンス」で検証しているが、アメリカで流行ったものは日本でも流行る。これはもう「法則」といっていいものである。

■それはとにかく、ぼくなど紙の本に親しんできたので、いぜんとして紙の本に愛着がある。一方早い時期から電子書籍に親しんできたため、内容を読むだけであったら、べつに電子書籍でもいい。これにクリックひとつで音声(人工音声もかなり良質になっている)にかわるような新種の電子書籍がでれば、電子書籍市場は活性化し、ビジネスとしても成り立つはず。

■音楽もいいが、人は言葉を読み、聞きたいのである。はじめ言葉ありきというが、言葉は人と動物を区別する上で大きな力を発揮してきた。文化・文明を発展させてきた原動力は、なにをおいても言葉である。思考は言葉をもってする。感性、感性といってきたこの数十年、日本ばかりでなく世界がお世辞にもよくなったとは思えない。活字文化、言葉の文化を充実させることで、社会のあり方がすこしは変わる。小さな変化が、流れにたとえれば細流となって、細流があつまって中流になり、やがて大河になることもあり得ることである。

■電子書籍の可能性を信じ、新しもの好きのボクは、すでに当ブログで何度か紹介した通り、試みに電子書籍をだした。パソコンで当ブログをお読みの方はページの右側に縦にならんだ拙作の表紙ないしタイトルをクリックしてください。アマゾンのその本のページに飛びます。「香取俊介」のキーワードで入っていただければ、『望郷異聞』や『愛をください』『マイペンライ』などの拙作の小説の概要をつかめます。Kindle本はそれなりの分量「試し読み」ができます。無料で読める期間も設けています。紙の本ともども、よろしくお願いいたします。
 音声版もいずれ試みるつもり。さらにその先の「新しい表現」を考えています。
by katorishu | 2013-08-14 12:17 | 連載小説