終戦記念日に「舶来寄席」と知人の開いた奄美料理店に行く
2013年 08月 17日
■15日の終戦記念日は、昼間、根をつめて仕事をしたあと、夕方から新宿、渋谷の2カ所に足を運んだ。新宿のライブハウスで行われた「舶来寄席」というイベントにまず顔をだした。久しぶりの新宿は若い人で賑わっていた。若い人はただ若いというだけで、老人に活力をあたえてくれる。若さは未熟であるが、可能性を宿していて羨ましい。ただ、若い人だけで固まって他を排するところからは、なかなか新しいものは生まれない。文化芸術は伝統という土壌の上に咲く花である。老若男女があつまって経験や体験の違いを交流しあうところから、生み出されるもの。それが文化をすすめていく源になるのではないか。WEBRONZAで連載中の拙作「昭和エロ・グロ・ナンセンス」を特に若い人に読んでもらいたいと思うのも、そんな理由からである。
■「舶来イベント」では元TBSの演出家大山勝美氏をゲストに、元フジテレビの演出家、嶋田親一氏が聞き役となって、テレビ草創期のドラマについて興味深い話が披露された。お二人ともよく存じ上げているので、話の大半はぼくのような「関係者」には既知の内容だが、大山氏が旧満州出身ということを初めて知った。鹿児島の生まれだが一歳のとき、共に教師であった両親と満州に移住した。敗戦の前年、大山氏だけ日本に帰ってきたのだという。当時は典型的な軍国少年で海軍兵学校を受験するため本土に戻ったのだが、まもなく敗戦となった。
■その後、テレビマンとなり「岸辺のアルバム」や「ふぞろいの林檎たち」などでテレビドラマ史を画する作品をつくり、「ドラマのTBS」という時代を築くに功あった人である。終戦記念日であることを意識してか、最後に大山氏は「平和憲法があったからこそ今日の繁栄がある。この憲法を変えてはいけない」と憲法擁護派であることを改めて強調した。トークのあとピアノとバイオリンのジャズ演奏。終わって同席していたI氏とカミサンで渋谷の道玄坂に。新都市線にはじめて乗った。奄美出身の音楽プロデューサー江原氏が先月開いた沖縄(奄美)料理店「六調」に。江原氏はいつも店にでていて音楽の話に花が咲く。従業員に沖縄や奄美の民謡を歌う歌手などもいて、興が乗ると店で歌ってくれる。江原氏手作りの豚のレバの塩漬け等々も上出来だ。いわゆる沖縄料理屋とひと味ちがったアットホームで、民宿風の店だ。価格もリーズナブルで心地よい時間をすごせる。
道玄坂の途中を右手に折れると「百軒店」という一角がある。昔はここが渋谷一の繁華街であったが、いまはラブホテルなどが多くなっている。ただ、純喫茶のライオンなど古い店ものこっている。「六調」は百軒店の坂をのぼってすぐの角を左に80メートルほどいった左手にある。
■写真は江原さんが最近プロデュースした奄美新民謡の歌姫、久永さとみの「スラヨイ黒糖&島めらべ」のCD情報。奄美大島は戦後、GHQに委任統治され、日本復帰は昭和28年。今年で復帰60年だという。このCDは復帰60年を記念したアルバムで、奄美名物の黒糖焼酎のPRをかねたもののようだ。焼酎のなかでは黒糖焼酎がもっとも好きなので、紹介させてもらいます。奄美民謡もいいし、「六調」で黒糖焼酎を飲みつつ歓談するのもいい。店長の江原氏も愛想がよく、話し好き。奄美出身で本格的歌手をめざして修行中の女性の店員も声がとってもよく、才能を感じさせる。足を運んで見る価値のある店です。