コラム


by katorishu
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小さな空間でのライブ音楽ショーなど2題。5感で体験できる「ナロー・キャスティング」が大事 

 9月9日(月)
■昨日、ときおり激しい雨がふる中、カミサンとひさびさに浅草にいった。友人の放送作家のさらだたまこさんが中心になって企画・構成・出演する『パリが愛したココットたち』というライブ。場所は電気館近くの浅草リトル・シアターということだが、なかなか見つからず、15分ほど歩き回ってようやく見つけた。五〇人入れば一杯になってしまう小さな劇場。

■出演者は6人。全員が女性で、フランス文化がもっとも華やかに花開いた、フランス革命後の「ベルエポック」時代を背景に、ココットという「高級娼婦」を中心にした、一種のバラエティショー・ショー。現在書いている小説に、ベルエポック時代のパリがでてくるので、参考になった。出演は占い師の愛新覚羅ゆうはん(満州国の皇帝一族の末裔とか)や、若手の構成作家の井上季子ほか本職のストリッパー、ピンク映画の女優兼監督の吉行由実等々。シャンソンと語りで構成される。歌は全員が素人なのでそれなりだが、個性的な女性たちでくりひろげる2時間を楽しめ「脳休め」になった。





■見所は構成作家歴30年(学生時代からやっている)のたまこさんの、ユーモラスで笑える語りと踊り等々だ。これまでは、エンターテイナーの陰になって構成などをやってきたが、50をすぎ、ある種ひらきなおって、「表」にでることにしたとか。若手の関西弁の井上季子との語りも楽しく、客席とのやりとりがあるのも、いかにも浅草らしい。秋に公開の吉行監督のピンク映画に、たまこさんは「やり手婆」役で出演もするという。ある主のいい加減さ、自在さで、即席な語りをまじえてショーを作り見せてしまうのも、浅草らしさで、まだ浅草の「灯」はきえずに残っているな、と思った。終わって、浅草名物の神谷バーで名物の電気ブランを1杯飲んで帰る。

■過日は、舞台女優の加藤忍が企画した「ライブ・ショー」を見た。こちらは俳優の加藤健一とその仲間が出演する音楽ライブ。加藤忍とは何度か声の仕事をしたことがあり、舞台女優としてはプロ中のプロ。「ささやく」ような声は「大原麗子似」で、ぼくが関わった声の仕事は評判がよかった。現在NHKで放送中の韓流ドラマ「トンイ」の主役の声をやっている。「語れて」「歌える」役者がいるといいなと思っていたので、彼女が「歌う」ショーであるというので、元大手広告代理店のI氏と笹塚のホテルの小ホールに見にいった。予想以上に歌がうまく、存在感があった。ここも80人ほどの小さな空間。飲み食べながらのショーで、お客の多くは加藤健一ファンのようで、「中年オバサン」が多かった。
ネット時代、ますます視力と聴覚の2つの感覚に特化するながれのなか、5感で体験する「ライブ」が大事になってくる。二つのライブに顔をだし、あらためて思ったことだった。
by katorishu | 2013-09-10 22:01