秘密保護法案、参議院の審議で政府側の参考人まで、議論をつくしていないと疑義。
2013年 12月 04日
■例の評判の悪い秘密保護法案、衆議院で強硬採決のあと、参議院での審議にまわされたが、数の力で政府与党は6日にも強硬採決にもちこもうとしているようだ。皮肉なことに昨日の参議院での参考人質疑で与党推薦人の瀬谷俊雄元全国銀行協会会長までが、反対する野党側の参考人の問題点の指摘をうけ「慎重審議は必要だ。懸念をふせぐ手立てを講じるべきだ。特定秘密に対し二重、三重にチェックするプロセスを明確にしなければ、支持は得られない」と述べた。
■法案に賛成の推薦人からも疑義がでる類の欠陥法案である証拠。知る権利が侵され、民主主義がさらに遠のき、「官治国家」に近づく時代錯誤の法案であることを、はからずも示している。多くの学者、映画人、文筆家の団体からも廃案の声があがっている。安部政権はその波が広がる前に強硬採決しようという腹なのだろう。安部首相は日米同盟のもと日米の機密を共有するためにぜひとも必要な法案と強調しているが、昨日のテレビ朝日報道ステーションで元アメリカ大統領顧問が、日米の共有する機密は60年代から共有されており、なぜ今この法案成立を急ぐのかわからないと懸念を表明していた。
■日頃、与党に甘いテレビの政治関係のコメンテーターまで、審議をつくさない法案の強硬成立に批判的だ。「スパイ天国」などと日本はいわれが、異国の人間が多く集まる「国際都市」はどこだって「スパイ」「諜報関係者」が数多くいて、機密情報の収集にシノギを削っている。ところでインテリジェンスの世界で9割以上は、公開された情報を分析することで、その国の基本方針や意図するところがわかる。案外知られていないが、日本の機密情報は、アメリカの諜報機関に「だだもれ」である。
■日本がいくらアメリカ頼みをしていても、アメリカそのものが変容しつつある。いや、世界情勢が激変期をむかえている。激変期には「昨日の友が今日の敵」に「昨日の敵が今日の友」になりうるのである。機密をもっとも、安易にもらすのは実は政治家。それも与党の政治家である。彼らを不用意な言動をしばる法律をつくるべきときなのに、この法案はどうも政府への異論を封じ込めることに貢献するような、時代錯誤の法律である。
■従来の自民党であったら、内部から異論、反論がでるのだが、今は異論反論が聞こえてこない。「大政翼賛体制」が整いつつあるのか。違うと思う。二世三世議員が多く、自分の頭で考える力、知力を欠いた「坊ちゃん」が世襲で議員になっているケースが多すぎるからである。そんな人を選ぶ国民も悪い。