市民劇団と『メアリーという名の姉』
2005年 03月 03日
横浜にある「市民劇団」の「劇団かに座」というところから、『メアリーという名の姉』を上演したいので、上演許可を……との連絡。もちろん、どうぞと返事をだした。
『メアリーという名の姉』は、3年ほど前、銀座の「みゆき館劇場」で公演したものだ。ぼくの作・演出だった。自分でいうのもおかしいが、「面白かった」「つぎはいつやるのか」といった声を多く聞いた。
映画やテレビ、演劇関係者からも、好評であったようで、出演者、スタッフともに苦労が報われた気がした。
いわゆる「戦争花嫁」の話で、昭和55年の経済成長まっただなかの日本に数十年ぶりに帰ってきた女性を軸にした話だが、むしろ彼女を受け入れる「実家」の人々に焦点をあてた。実家は巣鴨のまんじゅう屋で、当時の日本人の「拝金ぶり」を戯画化して浮かびあがらせる手法をとった。最後に思いがけない「ドンデン」があって、すでに死んでいるメアリーからの手紙で終わる。
泣いて、笑って、爽やかに、プラス、社会性……がぼくの芝居の柱と考えているが、じっさいに御客を心から満足な気分にさせることは、そう簡単ではない。
「昭和三部作」と銘打った舞台の第二弾であった。一弾目は実在の人物で、「妖花」とうたわれた戦前の美人女優、竹久千恵子を描いた『モダンガール』。
いずれ三部作の第三弾を書くつもりだが、まだ具体化されていない。
昭和が平成にかわる日の、ある家庭を舞台に展開する「家庭劇」になるかと思う。
劇団かに座での公演は、今年の6月24日(金)、25日(土)、26日(日)の三日間で、場所は「かなっくほーる」(横浜市民文化センター内)とのこと。
『メアリーという名の姉』に出演した内山森彦氏の知り合いが主宰する劇団で、「市民劇団」というから、プロの劇団ではなく、ほかに仕事をもちながら芝居を上映する劇団なのだろう。
受け取った封筒の面には「横浜でドラマを創ろう!!君の、貴方の、そしてみんなのドラマを!!」と印刷されていた。成功を祈りたい。