コラム


by katorishu
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レオナルド・デカプリオ主演の映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は「ビジネス映画もの」の佳作

 2月16日(日)
■昨日、品川プリンスシネマで『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を見た。実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベレオナルド・デカプリオ主演の映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は「ビジネス映画もの」の佳作_b0028235_9191070.jpgルフォートの回想録の映画化だ。1980年代から1990年代のウォール街で、若くして大金を稼ぎ、その後証券詐欺の容疑で逮捕されたベルフォードの、「金」と「性」への欲望のエネルギーを活写していて面白い。金融マンとして貧乏人からのし上がっていく主人公は、まさに「アメリカン・ドリーム」の体現者だが、「きれいごと」に描いていないのが良い。

■当初は控え目であったベルフォードが金持ちになり金の力を思い知るにつれ、欲望むきだしの「野獣(ウルフ)」になっていく。「バカなお客」を観覧車にのった気分にさせ、いつまでも乗せたままにしておいて、オレたちは手数料で稼ぐ、それも5割の手数料で――といった先輩の「心構え」を解くところなども、興味深い。アメリカのサブプライムローンのような「だまし」も敢えて行い、コカインなどの薬とセックスでハイになって、稼ぎまくる金融マンたち。当初ベルフォードの集めた「同志」等は社会のはずれ者で、学歴もない「どこにでもいる」連中――という設定も面白い。ベルフォードを演じるデカプリオが類い希な弁舌と論理で、周囲を巻き込んでいく。その見事さ。デカプリオならではの熱演と名演技で、それだけでも見るに値する。




■莫大な儲けをだすには尋常な神経ではできないようだ。そのため麻薬と性で感覚を麻痺させる。実話をもとにしているとはいえ、映画的な誇張がかなりあると思われるが、諷刺のスパイスを、あざといばかりに効かせたビジネス・コメディであり、アカデミー賞の有力候補とか。なによりデカプリオの演技が見事。プロデューサーに名前を連ねており、この映画に賭けるデカプリオの強い思い入れが伝わってくる。良くも悪くも「アメリカらしさ」を鮮やかに浮き彫りにしていて、じつに興味深かった。客は4割ほどの入り。見て損はない作品です。
by katorishu | 2014-02-16 09:19 | 映画演劇