コラム


by katorishu
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日本の将来を左右するのは「国語力」。国語力を養うのは読書の習慣。これなくして明日の日本はない。

 3月6日(木)
■やや暖かくなったと思ったら寒くなる。三寒四温ということば通り、気温が上下しながら季節がうつっていく。四季がきっちりとある日本ならではの恵みである。この15年ほど「グローバル化」という言葉が一般に成り、経済ばかりでなくあらゆる分野に「グローバル化」の波が押し寄せている。

■世界標準基準のITが社会に浸透すれば当然の結果なのだが。未だにパソコンやスマホや携帯などを使わない人が希にいるが、今となっては「尊敬」に値する。ぼくなど昔から「新しもの好き」なので、軽薄にも新しいものがでるとすぐ飛びつく。ワープロを購入したのもかなり早かった。パソコンだってウインドウ95がでて1995年には購入している。その割りにはIT技術に進歩はないが。

■僕が子供のころ知っていた文化や年中行事、人と人とのつきあいの形などなど‥‥以前は日本の「美点」であり「強み」であったものが、流され消えようとしている。いくら便利になっても、さすがにこれは「まずい」のではと思うようになっている。かといって戦前の「大日本帝国」の亡霊を追うような「ネットウヨ」といわれる人たちの、過激な排外主義にはついていけない。





■日本の伝統文化をまもりつつ、ボーダレス化のすすむなか異文化、異民族とどう折り合っていくか、それが今後の日本に課された重大仮題であり、目標設定しだいで日本は沈むか浮き上がるか、現状維持かが、決まってくる。端的にいえば、最優先事項は『日本語』ではないかと思う。世界の言葉のなかでも漢字とかたかな、ヒラガナを、誰でも使い分けて、豊かな表現のできるのは、日本語をおいて他にない。この特質を生かさずして「日本の未来」はないのではないか。

■そのために必要なのは1に読書、2に読書、3、4がなくて5が読書である。明治維新後の近代化の過程で、アジアで日本だけが唯一欧米列強と対等にはりあえた。理由はいくとかあるが、柱のひとつは「識字率」の高さであった。戦後日本の復興、繁栄も、国民がよく本を読むことと関わりがある。人の思考は言語で行う。言語を読み取り、聞き取り、己のものとする能力があってこその「思考力」である。日本にきた外国人が一様に驚くことは、「電車のなかでこんなに多くの人が本を読んでいる。ほかの国ではありえませんよ」と外国人から直接聞いたこともある。

■今、その習慣が薄れつつある。長い目で見て、これこそ「日本の危機」につながる。じっくり読めば、本ほど(内容によりけりだが)面白いものはほかにない。テレビなど映像関連の仕事でメシを食ってきたぼくが、あらためてそう思うのである。電車やバスや地下鉄の電車内で、ほとんどの人がスマホに向かっているなか、ぼくはたいてい本を読む。古典から今の作品まで、良書は良書、悪書は悪書なりに面白い。映画や演劇も悪くはないが、基礎の基礎は本であると、あらためて思うのだが。それを「古い」とか「時代錯誤」と思う人が増えると、日本は衰退に向かうと予言しておく。
by katorishu | 2014-03-06 10:37 | 文化一般