コラム


by katorishu
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2000年製作のハリウッド映画『ペイ・フォーワード』は地味ながら家庭劇の佳作。

 6月2日(月)
■映画『ペイ・フォワード 』(原題: Pay It Forward)をDVDで見た。キャサリン・ライアン・ハイドの小説に基づく2000年製作のハリウッド映画『ペイ・フォーワード』は地味ながら家庭劇の佳作。_b0028235_10512283.jpg映画で2000年製作。監督はミミ・レダー。
 以下はウイキペディアから引用させていただく。
『ラスベガスに住むアルコール依存症の母と家を出て行った家庭内暴力を振るう父との間に生まれ、中学1年生になった主人公トレバーの担任教師は社会科のシモネット先生だったが、彼の顔面には酷い火傷の跡が残っていた。シモネット先生は生徒達に、「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら、何をする?」と問いかける。生徒達は中学生(アメリカでは7年生)である、悪く言えば幼稚な考えを提出するが、トレバーは違った。彼の提案した考えこそ、後に世界を変えることになる、「ペイ・フォワード」だった。ペイ・フォワードとは自分が受けた思いやりや善意を、その相手に返すのではなく、別の3人の相手に渡すというものだった。トレバーは“渡す”相手を探す。仕事に就かない薬物中毒の男。シモネット先生。いじめられている同級生。 “ペイフォワード”は本人は失敗だったと思い始めるトレバーだったが、そんなトレバーを見ていた母親が、彼には内緒でこの運動をはじめることで、トレバーの努力は日に日に報われるのだが‥‥』




■トレバーが考え付いたアイデアは、人から受けた厚意をその相手に対して恩返し=“ペイ・バック”するのではなく、 他の誰かに違う形で先贈りして善意を広げていく=“ペイ・フォワード”すること。「次へ渡せ」ということで、この波がひろがれば世の中もっとよくなる、と少年は信じている。自分が受けたちょっとした「恩」や「好意」を他の誰かにひろめていく。1人が3人にひろげ、3人がさらに3人に恩をひろげていけば、「世界を変えることができる」と中学一年生のトレバーは思い込む。

■しかし、現実は頭の中で考えていることとは違う。両親ともアル中ですさんだ家庭だ。夫は出て行ったまま、連絡もない。一方、少年の母は、顔にヤケドをおった担任教師に好意をもつ。教師が家の入ってくることで確実に何かがかわる と少年は思う。善意が実るかと思ったとき、アル中の少年の父親が突然もどってくる‥‥。
凝った映像はいっさいなく、庶民の暮らしを淡々と描きつつ、見るものの心に迫る。

■いわゆる「富裕層」は一人も登場しない。アル中やホームレスなど下層で生活にあえぐ人たちを、温かく包むように描いていて、静かな感動をあたえる。ラストもハリウッド映画の定石である「ハッピーエンド」でなく、痛ましい悲劇で終わる。これが人生というもので辛いことに満ちているが、それでも救いはある。善意を他にほどこすことで世界は少しよくなる、という作り手の思いがよく伝わってくる作品で、小品ながら家庭劇の佳作といっていいだろう。
by katorishu | 2014-06-02 10:51 | 映画演劇