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 カフェ等を利用した詐欺まがいのビジネスの現場を目撃した。「仕掛け人」の話術は凄い。

 7月8日(火)
■昨日は、日本放送作家協会とNHKの共催の創作テレビドラマ大賞の第一次審査で、6時間ほどぶっつづけで25編の作品を読んだ。もう目がしょぼしょぼ。何百編と脚本を書いてきた人間から見ると、5,6枚読めば、作品のレベルがわかる。シノップシスのつまらないものもたいていはダメ。「これはすごい」という作品に出会えればよいが、圧倒的に多いのは可もなく不可もない「平均的」作品。新人賞なんだから、もっと新鮮な素材を新鮮な切り口で見せて欲しいと、毎度b0028235_10575380.jpg思うのだが。本当に才能のある作家は年に1人でるかでないかだと思う。この業界、需要と供給が極端にアンバランスになっていて(もちろん脚本家の供給過剰)、一人前のプロの脚本家に育っていかない。役者でもスポーツ選手でも「場」をあたえられなければ、少々才があっても伸びていかない。要するにテレビが斜陽・衰退産業にはいってきた証拠である。一方で脚本家等の志望者はテレビ隆盛期に比べ桁違いに増えている。

■それはそれとして――帰路、息抜きで入った目黒駅近くのコーヒー店で、ちょっとした出来事を目撃した。
4人掛け席を占領していた若い男。そこに2人の男女が現れた。初対面のようだ。本でも読もうと思ったら、若い男が立て板に水で「金儲け」の話をし始めた。どうもここで「金儲けコンサルタント」をしている、と当初は思った。語学の個人教授をよくやっていて、英語、韓国語、スペイン語、フランス語などが飛び交っている。教師は日本滞在の外国人で、どういう経路で成り立つのか知らないが、2時間近く向かい合って会話をし、その場で現金払い。




■その類の『個人コンサル』と思った。会話の内容でわかるのだが、客の女性は21歳、男は25歳。「お金儲けに興味を持つ女性大好き」と若い男は言って、いかに楽をして大金を儲けるかを滔々と語る。感心したように相槌をうつ客の男女。言葉巧みな男はこの春まで高校生であったという。顔をちらっと見たが、これは嘘。どう見ても20代半ばだ。クラブでつい最近までバイトをしていたとのこと。
隣にいるので嫌でも聞こえてしまうのだが、20分もしたら完全に客の男女を巻き込んでいる。男はよく勉強をしており、雑知識が豊富だ。鞄には5,6冊の本がつめこんであった。好奇心の塊でもある僕は(これをよく言えば作家的関心という)読書するふりをして耳を傾け、時にメモをとった。

■どうも男は、アメリカ の国防総省公認のサプリとやらに投資させるようだ。やがて、ビジネスには初期投資が必要で80万ほど必要だと言い始めた。そして、ここからが大事なことといって身をのりだし、何人かの知り合いに紹介すればこんなふうに毎月黙っていても、お金がはいってくると‥‥印刷物をだして説明する。これは一種のネズミ講ではないかと思った。だいたいアメリカのペンタゴンお墨付きというのが怪しい。しかし、最初に仕掛け人の男の話術に幻惑され、その網の中にはいってしまった「純な」カップルは、信じ切ったように頷くばかり。

■隣で聞いていて、ふと思った、これは現代版の香具師であるなと。ただ香具師の場合はバナナを沢山買ってしまうとか、すぐ壊れる時計を買わされる程度ですむが、ネズミ講まがいの商売は、そこで動く金額の桁が違う。
だんだん周囲の客が少なくなった。僕も最後までつきあうほど閑人ではないので、席をたったが、これは当ブログで昨日書いた「宮内勝典氏が嘆いていた現象」であるなと思った。
それにしても「純な」客を巻き込んでいく仕掛け人の話術は相当なもので、下手な脚本家や俳優はまるでかなわない。これはこれで勉強になった。願わくば、純な男女があとで後悔しないことを願うばかりだ。
by katorishu | 2014-07-08 11:00 | 社会問題