奇策の応酬
2005年 03月 26日
テレビ関係者の一人として、ライブドアのニッポン放送へのM&Aにどうしても関心が向いてしまう。東京高等裁判所の裁定で、ライブドアが圧倒的に有利になったかと思っていたが、24日、フジテレビがソフトバンクの子会社にニッポン放送株を「貸して」ファンドを立ち上げるとの奇策をもちい、一転また有利になったようだ。
いろいろな手があるものだと感心する。 この買収劇、一歩離れて見ていると、下手なドラマを見ているよりずっと面白い。マスコミも当然、トップニュースとして繰り返し報じている。
今後どうなるかわからないが、どっちが勝つにせよ、大事なのは「視聴者」である。このことは忘れないでいてもらいたい。
面白く、ためになる番組を数多く作るとともに、ジャーナリストとしての批判精神も失わないで欲しい。感じ方は人それぞれで、ある人にとって面白いものが、ある人にとっては面白くもない……といことはありがちで、そう簡単ではないが、多くの人が納得できる最低限の基準というものはあるだろう。
「面白くなければテレビじゃない」の標語で、テレビ界トップの売り上げ会社に躍り出たフジテレビだが、「面白さ」の中身が問題である。
テレビは子供など若年層への影響が強いメディアである。いくら「数字」をかせげるからといって、日本人の品性を落とし、日本にやってきた外国人からバカにされるような番組はつくらないでもらいたいものだ。
以前、日本に住む何人もの外国人に取材をしたことがあるが、日本のテレビ番組について彼等が異口同音に口にしたのは、「幼稚すぎる」「まともな大人の見られるものが少ない」「この程度なのか」といったことだった。「とっても面白い」という意見もあったが、総じて「世界第二の経済力」に見合った質の高い番組が少なすぎるという。謙虚に受け止めるべきことだろう。
本日も三軒茶屋の喫茶店を二つまわり、外で計5時間近く執筆作業。ラジオを聴きながらパソコンに向かって呻吟していた。店がこんでいる場合は早々に出て行くが、比較的すいていたので、長時間の滞在となった。店の人も、すでに知っており、またきたかと思うと同時に「常連」でもあるので、特にいやな顔もしない……と思いたい。