コラム


by katorishu
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奇々怪々なマスコミ

3月30日(水)
 最近、マスメディアの中も混沌としてきたようだ。
 本日の読売新聞ウエブ版によると、朝日新聞社が2000年から01年にかけて週刊朝日で連載した企画記事を巡り、消費者金融大手「武富士」から「編集協力費」として5000万円を受け取っていたという。
 連載は武富士とのタイアップ企画だったが、誌面には武富士の社名などは掲載されていなかった。
奇々怪々なマスコミ_b0028235_317522.jpg
 連載は、週刊朝日の00年7月7日号~01年8月10日号に計53回掲載された「世界の家族」というタイトルの記事で、イタリア、オーストリア、中国など20か国の家族の様子などを紹介する内容だった。
 朝日新聞社が武富士と交わした覚書には、編集協力費の金額や支払い方法、週刊朝日の編集方針を武富士が尊重することなどが盛り込まれていたという。
 タイアップ記事であるにもかかわらず「編集協力・武富士」などの記載がなかったことについて、朝日新聞社は、「(記載には)武富士が消極的だった。連載終了後に写真展を開いたり、写真集を出版したりして武富士の名前を出す予定だったが、(その後)編集長が交代するなどして、現在も実現していない」と説明している。
 これがわかったのは、読売新聞によれば、この4月30日であるという。
 武富士の竹井会長は、フリージャーナリストに対する盗聴事件で有罪判決をうけている。恐らく、武富士側からのリークにもとづいた報道だろう。

 一方、ライブドアと経営権をめぐって、虚々実々の闘いを演じているフジテレビの日枝会長について、右翼の政治結社への「詫び状」を出していたという記事が、3月28日、発売の『週刊朝日』増大号に巻頭特集としてでている。
 詫び状は、「外資乗っ取り」の防御策がまったく出来ていないことが中心のようであるが、どんな理由があるにせよ、大手マスコミの経営者が右翼に詫び状を出すことは異例である。
 『週刊朝日』をだしている朝日新聞は、現在、NHKと番組への政治家の介入の有無をめぐって係争中である。そして、読売新聞と朝日新聞は従来から「天敵同士」のようで、
社説などもしばしば対立する論を展開している。
 
 週刊朝日がサラ金の帝王から、どんな名目にせよ大金を受け取ったことも問題であるし、大手マスコミの会長が右翼に詫び状をだしたことなども問題である。
 共にどういう経緯でそういうことなったのか、よくわからない。恐らく、こういうことは氷山の一角で、ほかにも水面下でいろいろなことが渦巻いているのだろう。
 マスメディアも一種の「末期症状」に陥っている、といっていいかもしれない。
 ライブドアのような突然できたような企業が有名企業を飲み込もうとすることも初めてであり、大手マスコミ同士がが真正面から衝突することも、これまでの日本にはなかったことである。
 マスメディアは世論を動かす力をもっており、「世論」を無視して「政治」が成り立たない以上、マスメディアの動向は日本社会の明日に決定的な影響をあたえる。
 そんな言論機関の代表ともいうべき「大手マスコミ」のなかで、あいついで起こる異例な事態。マスコミは社会の反映であり、社会を映す鏡のようなものであることを考慮すると、多くの人が意識していないところで、この社会に大きな地殻変動が起こっているにちがいない。
 水面下や背後で、なにかが蠢動しており、すでにマグマとしてたまっていて、いつ爆発するかわからない。日本国民の中にも、数々の不満がマグマのようにたまっており、はけ口をみつけてうごめいている。
 やがて、そんなマグマが地殻から吹き出すと、思わぬ方向に社会が動いていく可能性がある。それが、多くの日本人にとって、果たして良いことなのか、悪いことなのか。
 いずれにしても、一寸先は闇の、混沌とした社会に、日本は向かいつつあるようだ。
 誰であったか、日本はタイタニック号の上でポーカーゲームをやっているようなものといっていた。舵をどちらかに切らなければ破局に至るのだが……。
 さて、誰が、どちらに舵取りをすればよいのか。判断の材料である情報を提供してくれるマスメディアが、悲しいことに、こういったテイタラクである。
 かといって、ホリエモンのいっているように、インターネットの情報に頼るわけにもいかない。インターネット上に流れている情報はあまりに膨大で、未整理で、真偽も定かでないものが多く、そこから的確な判断をくだせる情報を得ることなど至難のワザである。

 かくて、多くの国民は的確で肝心な「情報」をあたえられないまま、タイタニック号の上でつかの間の安逸をむさぼっている。さすがに太平楽な日本人でも、霧の彼方に氷山が見え隠れすることには気づいている。
 気づいていながら「なんとかなるだろう、これまでもなんとかなったのだから。アメリカもついていることだし」と楽観という酒に酔いながら、ひたすら自分の周囲にだけ目をむけ、ポーカーゲームの金儲けに腐心している。
 目ざとい人間は、沈没する船から逃げ出す鼠のように、すでにさまざまな手を講じて脱出の準備をし始めている。他の人に気づかれないように、密かに、そっと……。
 
by katorishu | 2005-03-31 03:22