トマ・ピケティの「パリ白熱教室」(第5回)をNHK・Eテレで見た。
2015年 02月 07日
■昨夜、トマ・ピケティの「パリ白熱教室」の第5回をEテレで見た。
パリに残る膨大な経済関係のデータをピケティが分析し、現在のヨーロッパは「19世紀の世襲社会に逆戻り」してしまったと警鐘をならす。フランス革命以前のフランスには、そもそも相続税なるも
■フランス革命によってその秩序が壊れ、相続税の創設で、一部の層に偏在していた資産が、比較的多くの民にわたるようになった。この流れに拍車をかけたのが第一次、第二次の世界大戦であるとする。それまで相続税は国民所得の20から25%にあたる膨大なものであったが、世界大戦のあと、この数字が4%まで低下し、高額の遺産相続が消滅に近い状態になった。
■ところが、近年、グローバル資本主義、市場経済原理主義や、「生前相続」の増加などで、相続遺産が「19世紀の世襲社会に逆戻り」してしまった、とピケティは膨大なデータから読み解く。この番組、第1回も見たが、説得力のある解析で面白かった。もっとも、経済学者の野口悠紀雄氏など、ピケティの分析は日本にはあてはまらないとしているが。
■いずれにしても、異例のベストセラーになっているピケティ著の「21世紀の資本主義」を読んでみたいものだ。分厚い本で読了には相当のエネルギーが必要のようだが、「白熱教室」を見ただけでは、ピケティの「真価」がわからない。
過剰な「格差」は社会を不安定にさせる。中東で起きている騒動も、煎じ詰めれば根底に「格差」がある。つい20年ほど前、国民の8、9割が「中流意識」をもっていた日本。今、調査をしたら、半数以上が「下流意識」の持ち主になりかねない。貧困層をつくらないことが、経済発展には大事である、と「日本資本主義の父」をいわれる渋沢栄一が繰り返し唱えていたことだ。経済にはモラルが大事、と渋沢栄一はくどいようにいってきた。今あらためて渋沢栄一の言葉の重みを実感する。
★「渋沢栄一の経営教室Sクラス」(日本経済新聞出版社)好評発売中です。
AMAZONの「商品説明」をご覧いただけましたら幸いです。