届く言葉 2
2005年 04月 11日
届く言葉 2
★「歌います。すると、お客さまの心がピーンと伝わってくるんです。目をつむっていても、隅のほう、大むこう、上手、下手、劇場のあらゆる場所から楽しい気分や悲しい気分が、はねかえってきます。それと一つになること、溶けこんでいくこと……。
どういうふうにって、具体的に説明しろっていっても無理よ。そうねえ、網を打つでしょ。それをギューッと自分のほうにひぱってくる。あの気分と似てるんじゃない?でも、そのとき、自分ってものは消えちゃうの。網のなかのお魚にね、自分もなっちゃわないとダメなのよ。むずかしいな。ともかくそんなふうなの」
『美空ひばり』(竹中労著)より。
美空ひばりが自分の歌を歌うときの気持ち。