届く言葉 3
2005年 04月 12日
終日、雨。届く言葉3
明治学院大学記念ホールで3月28日、夕方行われた作家の小川国夫さんの公演から。訥々と語る小川さんの話には味があった。作家、椎名麟三をしのぶ第32回「邂逅忌」で。
★「去年(2004年)の正月に、大腿骨を骨折したんです。でも、それが契機で『聖書』の言葉について、深くわかりましたね。『我は弱きによって強く』という言葉が聖書にありますが、あの怪我で神が私にトゲをさしたのだと思いました。トゲが私を苦しめ、痛くてならなかった。しかし、この痛みは神があたえてくれたのです。弱点をもっているからこそ、私は強いんだと。文学も宗教も同じなんです。人生に於けるマイナスの価値、事業の失敗だとか病気だとか、じっさいその境地になってはじめて人生がわかってくるんです。マイナスの条件に耐えて、素晴らしいものに結びつけられる。それを文学と宗教が示してくれる。他の領域ではありえません。椎名(麟三)さんの文学とはそういうことです」