誰も知らない
2005年 04月 13日
三軒茶屋のコロラドで、番組企画書を某氏にわたす。ドラマ企画ではなく、30分の視聴者参加番組。
しばし執筆作業をしたあと、三軒茶屋シネマのスプリングが壊れた椅子に座って『誰も知らない』を見る。 主演の柳楽優弥が史上最年少の14歳という若さで、2004年度カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した作品だ。
監督は是枝裕和。母親が父親の違う子供4人を置き去りにするという衝撃的な現実の事件を元に、フィクション部分を加えた作品。
4人の子供の演技が自然で、じつにいい。ドキュメンタリー風の淡々とした描写で、説明を極力おさえたのが効果的だ。女優初挑戦だというYOUの扮する母親の自然な演技も特筆に値する。
ぼくも含めて、どうしても「ドラマティックに盛り上げる」構成にしがちだが、こういう作に接すると、ハリウッド映画風に「盛り上げる」手法やテレビに頻出する「説明」的手法を、再考させられる。
ただ、こういう作は一歩まちがうと、単調でつまらない作に堕すおそれがあるのだが……。じっさい、その種の作品を数多く見てきた。しかし、是枝監督の手腕、才能はその弊を免れている。日本映画も捨てたものではない、と改めて思った。
見終わって駒沢にもどり、またコーヒー店で執筆。外で鯖焼き定食と熱燗1本の夕食をとり、帰宅して仮眠。そうしてまた執筆。気づけばもう一日が終わっている。
毎度のことながら、時間の流れの早さを痛感すると同時に、まだ「持ち時間」がいくらでもあった往時の、無駄な時間の過ごし方が、かえすがえすも悔やまれる。