コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

『乱歩と東京』(松山巌著)は、ユニークな視点で乱歩作品を読み解く名著

12月4日(金)

■『乱歩と東京』(松山巌著)を面白く読み進む。芸大の建築家出身の松山氏らしく、建物や東京という都会の町並み、路地等、人の住む「器」という視点から希代のエンターテイナー江戸川乱歩の作
『乱歩と東京』(松山巌著)は、ユニークな視点で乱歩作品を読み解く名著_b0028235_17415577.jpg
品分析を試みる。

■なるほど、なるほどと思える所が多く、いろいろと教えられた。紀田順一郎氏の名著『乱歩彷徨』とともに、乱歩論の白眉といってもいいだろう。
 WEBRONZA連載の「昭和エロ・グロ・ナンセンス」執筆の資料として図書館で借りたのだが、両書とも手元において「汚したい」(線をひいたりして)ので、AMAZONで買い求めた。もちろん、評論・解説本ばかりでなく乱歩作品を読み込む作業を行っているので、時間がいくらあっても足りない。
 
『乱歩と東京』(松山巌著)は、ユニークな視点で乱歩作品を読み解く名著_b0028235_17422560.jpg
江戸川乱歩は膨大な作品を残しているが、やはり初期の短編小説、とりわけ『押絵と旅する男』を僕は高く評価する。

★写真の監獄は、昭和58年に取り壊された中野刑務所。戦前は豊島刑務所とよばれ主に思想犯がいれられた。取り壊される前の中野刑務所を取材したことがある。テレビ朝日の連ドラ『ある晴れた日に』(加山雄三主演)の脚本執筆のため。服役者が「働く」木工の作業場や厨房、独房などを見学した。主演の加山雄三が刑務所の医者という設定。刑務所長に話を聞いた。「看守は服役者と塀の中で暮らすので、半分服役者みたいなものです」と所長が話していて、妙に記憶に残っている。(インターネットに「ドラマデータベース」というサイトがあるが、さっきのぞいたら脚本家のなかに僕の名前がない。このデータベース、僕の書いた作品の三分の一程度しかカバーしていないのですね。ご努力はわかりますが)
by katorishu | 2015-12-04 17:42 | 文化一般