届く言葉 5
2005年 04月 15日
珍しく、早朝6時半に起床。7時半から12時まで執筆。それでも、まだ普段の「一日分」の時間が残っている。やはり早起きをするものである。この習慣をずっと続けようと思うのだが……。
届く言葉5は『今村昌平伝説』の執筆でお会いした今村組の美術スタッフの稲垣氏の言葉。
調布にある日活撮影所の美術控え室で稲垣氏とお会いした。自称「不良」だという稲垣氏。一時、テレビのコメンテーターとして出演したこともあるという。イマヘイさんに心酔していて、話も面白い。詳細は拙作『今村昌平伝説』をお読み下さい。まだ絶版になっておらず、河出書房に在庫があるはずです。
★「今村監督のもとめるリアリズムは、本当のリアリズムで、形やフォルムのリアリズムではないんです。この人間は、かくしてこうなったんだとか、この人間はこういう環境で、こいうものを食ってきて、こういう人間形成をへてきたからこそ、こういう人間になったんだと。だから、こういうことをするだろう、こういうくせがあっても、あり得るだろう。建物ひとつとっても、デザイン上のリアリズムではだめなんです。この地面の上に、なんでこの建物がたっているのか。どうやってたったのか。建物と地面の接点がどうでとか……大袈裟にいえば、地球の風土と人間がどうからみあって、こういう建物になっているのか。そこまで深く考えないとだめなんです。したがって、図鑑とか建築の本を見て、こういう建物であってしかるべきだなんて時代劇上の建前はぜんぜん通用しない人なんです」
『今村昌平伝説』(河出書房新社)、美術監督、稲垣尚夫の言葉。