コラム


by katorishu
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全く読書をしない大学生が45%。過去最高とか。憂うべき事態。

 2月28日(日)
■NHKが報じていたが、今の大学生の1日の平均読書時間は29分。全く読書をしない大学生が45%。これは過去最高とか。
「読書をしない大学生」など形容矛盾である。以前、本を出すとき「前者ではこういう表現をしていたが」といった文を書いたところ、担当編集者に訂正できないかといわれた。「だって、香取さん、前者、後者の意味がわからない学生が多いんですよ」。

■一瞬信じられない気分だった。それも十年ほど前のことだ。今はもっと「劣化」しているのだろう。なにしろ、日本とアメリカが戦争をしたことを知らない大学生がいるというのだから。もっとも大人だって、本を読まないことをむしろ自慢げにいう人もいる。
全く読書をしない大学生が45%。過去最高とか。憂うべき事態。_b0028235_1613332.jpg

 読書をよくする人と、ほとんど本を読まない人とでは、数分話して入ればたいていわかる。本を読まない人には、その微妙な違いがわからないようだ。
希に本など読まなくとも、一流の仕事をしている人に例外は存在するにしても。

■僕は文筆業という職業がら本と無縁の生活など考えられない。一年365日、本を手にとらない日はない。書くうえで必要な文献だから読むことも多いのだが、とにかく本は多彩な内容を含み、面白い。
写真は僕の寝床の周囲。これでも過日整理したほうだ。たいてい、手を伸ばして触れた本を読みながら寝てしまう。5分もたたずに寝てしまうこともあるし、そのまま朝方まで読むこともある。半分眠っているような読書でも案外記憶に定着するものだ。

■僕にとって読書は快楽である。しかし、この調子では、そのうち、読書は快楽などというと、変人、奇人と言われるようになるかもしれない。ものを深く考えたりするには、言語機能が深く関係している。言語という「武器」を手にいれたからこそ、人間は過去を現在によみがえらせ、次ぎの世代に継承していくことができた。つまり文化の伝承ができたた。だからこそ他の動物との分離が起きたといってもよいくらいだ。歴史は言葉でつづるものである。思考も言葉で行う。

■読書をしない人は、おしなべてボキャブラリーが貧困である。貧困なボキャブラリーで考えると、どうしても紋切り型の思考になり、他人に左右されやすい人間になりがちだ。
 読書をまったくしない大学生(他の大人も)が半分以上になったとき、急速に「知的劣化」が進み、日本は「後進国」レベルに堕していく、と予言しておこう。
by katorishu | 2016-02-28 16:03 | 文化一般