コラム


by katorishu
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オリンピック返上で膿を出し尽くせば、日本は「(比較的)クリーン」であるとして世界で評価される。

 5月31日(火)
■過日、どこかのブログにオリンピック後のオリンピック施設の荒廃ぶりが写真いりで載っていた。大金をつかって競技場や選手村等の施設をどんどん作ったのはいいが、その後の有効利用を深く考えていなかったり、オリンピック後はたいてい不況に陥るのが例なので、利活用できずに放置され、荒れるにまかせている施設がじつに多い。過去数回のオリンピックの大半がそんな状況とか。

■オリンピックに大金をかけ「オリンピック・ビジネス」とでもいうパターンをうちたてたのは、確かロサンゼルス・オリンピックあたりからだ。昭和39年の東京オリンピックは意義も意味もあり、大半の国民に祝福され、敗戦後の日本の復興を世界に印象づけた。ところが、二度目の東京オリンピックの準備段階での、あいつぐスキャンダラスな出来事はどういうことだ。日本国民として本当に恥ずかしい。

■日本の関係者の劣化、強欲ぶりも問題だが、国際オリンピック委員会そのものも、サマランチ会長あたりから腐臭を放っている。こんな「ビジネス優先」でアマチュア精神から遠く離れてしまったオリンピックは、いっそ一度やめたらどうだろう。続けるなら、クーベルタン男爵の精神にもどって、一部の人間や組織が多額の金銭をふところにいれる現行の運営法を、根本的にあらためることだ。それが出来ないなら、やめたほうがいい。クーベルタン男爵の精神からどんどん離れていっているし、だいいち青少年の精神に悪い影響をあたえる。

■今度の招致問題でのスキャンダル。フランス検察はかなり本気で捜査に乗り出している。IOC幹部も、真相追究に協力的だという。一部はポーズにしても、ここらで何とかしないと、まずいと思っているようだ。東京オリンピックが返上という事態になったら、日本政府、ゼネコンなどにもの凄い衝撃をあたえるだろうが、この際だから、むしろ好機ととらえ、オリンピックの膿を出し尽くしたほうがいい。

■ロシアのスポーツ界は以前から「スポーツ・マフィア」が支配している――というのが常識だが、今やオリンピックもマフィア化している。不純物をとりのぞくには、思い切った「手術」が必要で、それには「返上」が効果がある。一時的には「大損」だが、長い目でみたら、東京オリンピックは「返上」によって「腐臭をはなつ泥沼」からオリンピックを救いだしたとして、スポーツの歴史に長く刻まれるだろう。
by katorishu | 2016-05-31 10:49 | 社会問題