コラム


by katorishu
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 町から本屋が消えていく

 5月2日(月)
 仕事の合間に気分転換のため、三軒茶屋シネマでトム・ハンクス主演の『ターミナル』を見た。
 町から本屋が消えていく_b0028235_23573586.jpg クラコウジアというソ連圏を連想させる国からやってきた中年男が、ニューヨークのケネディ空港で足止めされる間に起こる出来事を、コメディタッチで描いている。
 故国、クラコウジアで政変が起こり、男の所有するビザが無効になり、入国を拒否される。空港の治安を担当している警備の局長の官僚的な処置を、痛烈に皮肉っていて、半分ほどは面白いと思った。
 背後に、9,11で厳しくなった空港警備を揶揄する気分が流れている。が、だんだん、典型的なハリウッドの通弊である、ご都合主義が浮き出て、ややはぐらかされた気分になった。
 夜間割引料金で700円。その値段分ぐらいは楽しめたが。
 映画は映画館で見るものである、とあらためて思う。
 幸い歩いていけるところに、ロードショー落ちの映画を上映する映画館が二軒並んでいるので、気軽に足を運ぶ。本日は中年の男の一人客が多かった。
 ざっと見て、20人に満たない客である。もう少し映画を見る人が増えて欲しいものだ。

 筑紫哲也ニュースで、町から本屋が消えていくという特集をやっていた。昔と比べて際だっていることは、子供がまったく店にこないことだ、と70歳の書店主が嘆いていた。
 新古書店と、大型店が出店を増やすなかで、個人営業の町の小さな書店がつぎつぎと消えていく。このところ毎年のように千数百件の書店がなくなっているという。
 頭脳を鍛え思考力を錬磨し、想像力を養う上で、読書は極めて有効な手段なのに、本を読まない人が増える一方のようだ。
 もちろん、読む人は読んでおり、二極分化が起こっているようだ。といっても、読まない層があまりに多すぎる。安逸な生活に慣れた人には読書がしんどくなっているのだろう。
 文化の衰退につながることでもあり、由々しいことである。
by katorishu | 2005-05-03 00:17