届く言葉14
2005年 05月 06日
★届く言葉14
「(ドラマの子役選びのオーディションのとき)一番つまらないのはサラリーマンの子供です。どういう家の子がいいかというと、まず片親。そして家で商売をしているかどうか。客商売ですね。八百屋、魚屋、ラーメン屋など食堂、クリーニング屋……。こういう家の子は、まず当たりはずれがないんです。親の商売、親の仕事を見ているんです。それに比べサラリーマンの子はしっかりと台詞をいう、お行儀がいいが、それだけ。親がラーメン屋をやっている女の子がいました。彼女はちっとも可愛くないのですが、日頃から親を見ているからか、動きが自然なんです。劇団で習ったものとはちがいます。片親の子がいいというのは、感性がいい。(人生の)痛みを肌でわかっているんですね。
例えばドラマで一クラスに三〇人の生徒がいる。それを編成する際、一番悪戯っ子の代表、一番頭がいい代表……というふうに選んでいくと、サラリーマンの子は特別の役があたえられない子になってしまうんです。商売やってる家の子は日常生活での感性の鍛えられ方がちがいます」
TBSエンターテイメントの大岡進プロデューサーの言葉。拙著・『子役という仕事』の取材で。大岡氏は昭和五六年から、『三年B組金八先生』をはじめ『貫八先生』『新八先生』と一連の学校ドラマを担当してきた。何人もの中学生をオーディションで選んできたが、大岡氏ならではのオーディションの選び方の基準をもっている。
サラリーマンの子が一番つまらない。なるほど、と思う。