コラム


by katorishu
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届く言葉17

 5月9日(月)
★「祐天寺にアパートをかりて、そこを拠点にして一〇何人かで『表現劇場』という劇団をつくったんです。それでアングラ生活にのめりこみました。そこで一緒にやっていた仲間に、現在テレビで活躍している大竹まことや、きたろうなどがいた。
 役者なんだから映画やテレビに出て食えるのがあるべき姿であり、いつまでもラーメン屋のアルバイトをやっていてもしょうがないということになって、みんなでアルバムをつくってテレビや映画に売り込みにいったことがあったんです。でも、どこからもひきがこなくて、唯一きたのが日活のロマンポルノでした。子供心にぼくは映画の学習をしてますからね、映画的なテクニックがわかっている。で、ぼくにだけ仕事がくるんですよ。それが、つかさんと出会って稽古場にいったとき、いわれました。お前は今までどこで芝居やってたんだ。お前の芝居にはアカがついているから、おれのところで、アカを落とせと。つかさんは、人間として見抜いていたんでしょうね、お前、どっか卑劣だろうとか、嫉妬深いだろうとか、どんどん引き出してくれる。
銀ちゃん(『蒲田行進曲』の主役)みたいな、落ち込んだときは死ぬんじゃないかと思う一方で、盛り上がったときには人を人とも思わない。そういうキャラクターを、つかさんはひきだしてくれましたね。それまで、ぼくの役は真面目な好青年というか暗い青年の役が多かったんです」

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 風間杜夫の言葉。『子役という仕事』の取材ノートより。風間杜夫は東映時代劇などの子役体験をへて、早稲田に入学。学生演劇をへて、26歳のとき、つかこうへい劇団に入り、以後、八年間、在籍した。
 つかこうへいの舞台は台本がなく「口立て」で稽古をしながら作っていく。『蒲田行進曲』で階段落ちをやる風間杜夫の「銀ちゃん」の演技は出色であった。
by katorishu | 2005-05-10 06:04