産経の「スクープ」
2005年 05月 30日
日曜日は正午から恒例の24時間、ハンスト。
そんなことをやっても自己満足で何もならないという人がいるかもしれない。自己満足で結構、と思うことにしている。
所詮、人は自己満足か、それに近いことしか出来ないのではないか。
フィリピンで80歳を越える元日本兵が発見された、というニュースには驚いた。その後、仲介者と称する日本人について、いろいろな憶測が流れ、ガセネタではないのか、という報道もされている。
ガセネタだとすると、これをスクープした産経新聞は、とんだお笑いぐさを演じたことになる。
産経といえば「タカ派」で「右系」の新聞と見られているが、それだけかなという思いが、ぼくにはある。この春の人事異動で、ぼくの旧友の千野境子女史が、論説委員長に就任したとの挨拶状を頂いた。
有能なジャーナリストに与えられるボーン・上田賞なども受賞した彼女は、どちらかといえば、リベラルな文化人とぼくなど理解しているが、そんな彼女を論説委員長にする新聞である。ぼくは、ちょっと産経新聞を見直した。
千野さんは硬派なコラムを書く評論家の左高信氏などとも友人のはずで、フルブライトでアメリカ留学などをしたほか、マニラ特派員など海外での生活も長く、柔軟な考え方の人だ。
余計なことかもしれないが、千野さんはフェリス女学院から早稲田の露文をへて産経入りした逸材で、その後、大手新聞で初めて外信部長に就任した。さらに論説委員となり、こんど論説委員長に。ぼくの著書なども、新聞のエッセーで紹介してくれた。
昔、一緒に同人雑誌をやったり、その後もよく新宿あたりで飲んだりしたので、千野さんの人柄や考え方なども、よくわかっている(つもりである)。
ここ何年かは、お互い本が出た際、送り合う程度で、会うことも少ないが、あの千野さんが新聞の社説の責任者で社論を左右する論説委員長に……ということに、時代の変遷を感じた。
今後、産経の紙面に彼女の良い影響が出ることを期待したい。