本を読まないなんて、ああ、もったいない
2005年 06月 06日
雑誌と週刊誌など3冊を本屋で買う。値段は1700円。そのあとブックオフで文庫と新書本を5冊買って、計525円。
内容的には、ブックオフで買ったほうがはるかに充実しており読みでがある。
確かにブックオフに代表される「新古書店」の出現により、本が安く手にはいり、リサイクルの面からいえばありがたいのだが、著者や出版社、書店など「生産者」から見ると、大いに問題である。
そうでなくとも「活字離れ」が進むなか、本がますます売れなくなり、そのため版元としても赤字を免れるため売れ筋の本しか出さなくなる。
少部数ながら、価値のある本は多い。むしろ、本当に価値のある本は、本来、ベストセラーなどにならないものである。そういう貴重な本が企画段階でつぶれ日の目を見ないことが最大の問題である。
出版社が衰えてブックオフが栄えるなど、本末転倒もいいところで、そのツケはいずれ読者にはねかえってくるに違いない。
肝心の出版社が機能しなくなれば、そこに寄生しているブックオフも成り立たなくなり、活字文化は衰退する。活字文化の衰退は、国民の思考力の鈍磨に通じ、扇動に弱い人間を大量に生み出すことになる。
この一点をとっても、今の日本は危ない。
義務教育の現場で、もっと読書の楽しさを教えられないものか。活字ビジネスにからんでいるから言うわけではないが、読書ほど知的興奮をあたえてくれるものはない。つまらない本は論外だが、世の中には面白い本が沢山ある。
以前、買ってまだ読んでいない本が、自宅に膨大な数眠っているが、時折、それを取り出してページを開く。1ページ、2ページと引きずられて本の世界に入っていくときの気持ちは、また格別だ。
本日手にとったのはドイツのユニークな作家、ノサックの短編集「死神とのインタビュー」。
パトリシア・ハイスミスの「11の物語」、こちらはサスペンス。
これから読みたいと思って机の上に出しているのは、ホーソンの「緋文字」と、折口信夫の「死者の書」、ほかにノンフィクション等々。
このほか、仕事がらみの執筆で読む資料がある。こちらは必ずしも読書の楽しみとはならないが、とにかく読書は面白い。こう思うぼくは、今の日本では例外なのか。
本以外にも、世の中、面白いことは沢山あるが、本でしか味わえない知的快楽があるということを、日に日に怠惰になっていく現代人は忘れている。ああ、もったいない。