コラム


by katorishu
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映画「ザ・インタープリター」

 6月12日(日)。
 渋谷で映画「ザ・インタープリター」を見る。
 シドニー・ポラック監督作品で、ニコール・キッドマンとショーン・ペンが出演とあっては、ぜひ見なくては、と思っていた。17日まで上映と知って、出向いた。
 国連で通訳として働く、アフリカ出身の女性、シルビア(ニコール・キッドマン)は、謎の人物たちのグー語の会話から、ある人物の暗殺計画を偶然立ち聞きしてしまう。
 シークレット・サービスのトビン(ショーン・ペン)は暗殺計画を防止するため、シルビアの調査などをするうち、シルビアの意外な過去が浮かびあがる。
 オープニングは架空のアフリカの国。内紛で大量殺戮が繰り返される中、カメラマンなどの一向が虐殺の現場を視察した際、少年に銃で打たれる。そんな衝撃的なシーンから、舞台は国連総会に移り、そこで働くシルビアの姿が映し出される。
 彼女はアフリカの母国の紛争で両親を殺され、アメリカにやってき、珍しい言語のグー語を話せることから国連の通訳に採用された。彼女の背負っているものは重く、苛烈である。

 国際サスペンス・スリラーといったもので、深く考えさせるものも内包した映画だ。息もつかせぬ緊張感のある画面に複雑に絡み合った物語。国連内部でロケをしたとのことで、リアルな描写がすごい。
 同時多発テロ以後のアメリカの過剰な警備の実態なども描かれ、さらにアフリカのかかえている問題なども背後に浮き上がる。
 独特の個性を発揮するショーン・ペンと、凄艶さと怖さをも漂わすニコール・キッドマンの取り合わせも面白く、久々に第一級のサスペンスを見たという気がした。
 人間ドラマも描かれ、複雑な物語をテンポのいい映像で切り取り、無駄な描写がなく、2時間あまりが、短く感じられた。ハリウッド映画の奥行きの深さを、改めて思い知らされ、こういう映画に接すると、「映画はアメリカにかなわない」という気分になる。
 詳しくは、ホームページの映画・演劇評で……と思うのだが、なかなか書いている時間がない。
by katorishu | 2005-06-13 00:58