珍しく風邪をひく
2005年 06月 17日
昨日からエキサイト・ブログがメインテナンス状態でずっと開けなかった。
おまけに、珍しく風邪をひき寝込む状態。考えてみれば、もう何年も風邪などひいたことはなかった。不眠症をのぞけば、どこも悪くなく、過去一年を振り返っても医者にいくほどのことはない。
それが数日前、喉が痛くなった。葛根湯を飲んだがよくならず、くしゃみが出て、やがて鼻水に。昨日は咳がでた。今はすでに17日の早朝、珍しく朝5時に目覚めると、気分爽快。
この数日、記憶に残っていることは、新宿の「哲学カフェ」にいったこと。唯識の権威である横山紘一氏が主催して始めたもので、二回目である。新宿の「らんぶる」に30人近くがあつまり、テーマを決めて討論。
昔NHKの職員であった老人、フジテレビの解説員などのほか、学生もいた。面白かったのは中国や韓国から日本にきている研究者たちだ。二次会の飲み屋で、二人とじっくり話す機会がもてた。北京大学を卒業し東大にはいり、いまは某大学の助教授をやっている沈さん。丸坊主で仏教を研究しているという。
天安門事件がかれの「トラウマ」になっていて、それで仏教の研究にのめりこんだのだという。
中国の宗教情勢、当局の政策などについて、興味深い話をきいた。同じような経歴をもつ楊さんも異色の人物。小柄で易しい体つきをしているが、じつは武道の達人で、気功の本なども出している。
みんな日本語が流ちょうに話せ、外国人と話している感覚はない。むしろ日本人と話していて、違和感を感じることがあるが、彼等とは違和感は少ない。ボーダレス化はここまできている、と実感した。二人とも、真摯で、じつによく勉強しており、心地よい「知的興奮」を味わうことができた。
風邪ひきで、鼻汁が始終でて、肉体的には辛かったが、会話は充実していた。
翌日、紀伊国屋ホールで、井上ひさしの「父と暮らせば」を見る。以前、すまけい主演の同作を見ているが、このときは疲労していて、途中眠ってしまった。今度は辻萬長主演。広島に投下された原爆で死んだ父が「亡霊」となって、実の娘とやりとりする、コメディタッチの社会派劇。
当代一級の芝居人、辻萬長の張りのある声は心地よい。
昔、ぼくが脚本を書いた名古屋の放送局制作の昼帯ドラマに、辻氏はレギュラー出演していた。「マザコン」の喫茶店経営者という設定だった。収録のはじまる前に一度、名古屋の飲み屋でプロデューサーともども飲食した記憶がある。あのときはまだ小松座にはいっていなかったのではないか。声の通る人だと思った。その後の「舞台人」としての辻萬長の成長ぶりはめざましい。
風邪で体力が落ちているうえ、風邪薬のせいもあって、またもちょっと仮眠してしまったが、作品は感動もので、周囲からすすり泣きがもれていた。
「父と暮らせば」については、知り合いの樋浦勉氏が娘さんと「父娘」共演でやったものを、小さな民家風の家に二階で見ている。あれはまた独特の味わいがあった。また、娘とやる予定と、過日電話で樋浦氏は話していた。
当然のことだが、演ずる人が違えば、違った味わいになる。演劇は「生きている」ことをあらあめて実感するとともに、「生きている」から面白い。