「メアリーという名の姉」を見る
2005年 06月 27日
横浜のかなっくホールで上演された拙作「メアリーという名の姉」を見に行く。横浜の市民劇団「かに座」の第90回目の公演である。
アマチュア劇団のよさで、チラシや装置などもすべて手作りで、いろいろな人の力がひとつに結集して、演劇的空間を作り出していた。演劇の原点を見る思いがし、興味深かった。
夜からの「打ち上げ」に参加した。関係者30人ほどが集まって、主宰者の田辺さん宅の裏にある稽古場で、「美酒」を飲んだ。
技術の上ではプロにかなわないが、アマチュアならでの別の味わいもあり、みんなある満足感に浸っているようで、作者として感慨深かった。
知り合いで芝居をめったに見ない方から、メールをいただいたが、感動して涙が出た……との言葉があった。
こういう「草の根」の文化活動がもっと、ひろがって欲しいものだ。芝居関係者以外は、なかなか芝居を見にいかないが、やはりライブのもつ魅力はほかでは代替できない。
芝居は「生き物」なので、同じ芝居でも、日によってかなり違うものだ。主宰の田辺さんによれば、初日とくらべ、ぼくが拝見した楽日の芝居はずっとよくなっていたという。
稽古のときと比べ、本番で飛躍的にうまくなっている人もいた。稽古と変わらない人もいたが、それはご愛敬である。
測量会社社員、ペンキ屋、牛乳屋、介護士、OL等々、また月曜日から仕事にもどっていくのだが、彼等にとっても一時「非日常の空間」を「生きた」という経験は貴重であったに違いない。ここから、生きる糧を確実に得たはずである。
さらに100回、120回と公演を重ね、地域の文化活動をもり立てて欲しいものだ。