コラム


by katorishu
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猛暑も自然からの警告

 6月28日(火)。
 東京は35度を超える猛暑。地球環境がどこかおかしくなっている証拠の現れと考えたほうがいいのだろう。
 石油を初めとした地下資源をあれだけ大量消費し、一酸化炭素をまきちらす一方で、緑をなくしてしまえば、自然環境が悪化するのは当然である。
 今、地球上に60億の人間がひしめいている。50年ちょっと前の昭和20年代は26億人ほどであったから、この50年ほどで倍になったわけである。
 日本は人少子化で人口が減ってきているが世界的に見れば、人口はまだまだ増え続け、いずれ100億の大台に達するのは時間の問題だろう。
 そのとき必然的に起きるのは、食糧問題である。
 どんなにバイオ技術が進歩しても100億の人間を養うだけの食糧を地上で生産できるのかどうか。
 発展途上国の人達が、生存ぎりぎりの貧しい食事に安住していれば、なんとかしのげるかもしれないが、情報化とボーダレス化社会のなか、彼等だって日本やアメリカなど先進国の生活スタイルを見習うようになる。
 お隣の中国ひとつとっても、一家に一台車をもつようになったら、それだけで石油資源は膨大に消費され、早い時期に枯渇してしまうだろう。風下にある日本には汚染された空気が流れてき、環境は一気に悪化する。
 膨大な人口をかかえるインドも現在、人々の生活の「欧米化」がすすみつつあるようだ。イスラム、ヒンディーの「抑制の宗教」があるにせよ、都市を中心に欧米文明の利器をとりいれた生活が普及すれば、地下資源は急速に枯渇する。

 考えてみると、われわれは今、恐ろしい時代を目前にしている。
 現在の先進国のとっている生活様式、社会システムを今後ともとりつづけるには、地球があと50個か60個必要である、と以前、どこかの科学者が試算していた。
 人類はいずれ滅亡の運命をたどるにしても、滅亡の速度を遅くさせるために、今こそ先進国の人間が率先して生活意識、生活スタイルをあらためる必要がある。
 しかし、アメリカや日本をはじめとする「先進国」の人間は、楽で快適な生活スタイルに慣れて、それが当たり前と思っているので、流れを変えることは容易ではない。

 自然はいろいろな形で、そんな先進国の人間の生き方に「警告」を与えているのだろう。
 猛暑や天候不順、鳥インフルエンザ、狂牛病なども、その現れと考え、真摯に受け止めたほうがいい。
 しかし、ビジネス論理が最優先される流れの中、そんなことを考える人間は取り残されかねない。危機が目の前に見えるときまで、多くの人は、より快適で、より楽な生活をあくなき情熱で求め続けている。
 そんな努力が、不快で不便な生活をもたらすことになる可能性が強いのに、それに気づかない。気づかないふりをし、危機から敢えて目をそらそうとしているのだろうか。
 気づいたときは、もう決定的に遅いのだが。
 人口問題と、環境問題。これが21世紀の人類が直面する最大の問題である。
by katorishu | 2005-06-29 03:54