文革中、無実で5年半も幽閉された日本人
2005年 07月 06日
渋谷で、中国の文化大革命のさなか、無実の「スパイ容疑」で5年半も北京の監獄で、未決のまま幽閉された体験をもつ鈴木正信氏とお会いする。
鈴木さんは戦前、中国で過ごし、お父さんが「日本の国立大学」であったハルビン工業大学の学長だった関係で、戦後も中国にとどまり、いろいろ希有な体験をした。
満州医科大学にはいった縁で、朝鮮戦争で傷ついた人民解放軍の治療にあたったこともある。
以前、拙作「もうひとつの昭和」で若干、鈴木さんのことを取り上げたことがある。
鈴木さんはこの春、大学の教官を退職し、「まったくのフリーなので、誰にも遠慮せず、事実を事実のまま語りたい」とのこと。
日中のはざまで苛烈に生きた人の貴重な体験である。次の世代にぜひとも伝えたいものだ。
じっさいに鈴木さんは大学の紀要にインタビューという形で、人生行路を語っており、その抜き刷りもいただいた。そこに記せなかったことも多々あるとのことで、これを本という形で、世に広く伝えたいという点で、ぼくと鈴木さんの意見は一致した。
「李香蘭」の伝記は、李香蘭本人が語ったものをノンフィクション作家の藤原作弥氏がまとめたもので、ベストセラーとなり、ミュージカルにもなった。
あの形でいこうということになった。
鈴木さんとは今後何度もお会いし、詳細に話を聞く一方で、外務省、日中貿易関係者等への取材も時間をかけて試みたい。
まだ版元が決まっていないが。
8月になったら、心当たりに当たってみるつもりだ。