マダン劇
2005年 07月 16日
30数年前からの知り合いで、現在、半導体関連の貿易会社を経営している李さんが、ぜひ見て欲しいというので、五反田のゆうぽうと簡易保険ホール行われたマダン劇「ペンパ物語」を見にいった。
マダン劇(マダンノリ)とは韓国の大衆伝統演劇で、もともとは正月や盆、祭礼や市の立つ日など、多くの人が集まったところに自然発生的に起こった伝統劇とのことだ。アムルノリという民族楽器の演奏のもと、舞踏が演じられ、やがて日本の万歳のような笑劇が展開される。
「ペンパ物語」は昨年、ソウルで28回公演され好評であったとのことで、今回「平成17年度の文化庁国際芸術交流支援事業」として朝日新聞とディスクガレージという組織が招いたもの。李さんの経営するテクノトレーディングも韓国大使館などと共に「協力」として参加している。
物語は「盲人だった父を天とも感動するような親孝行で父の目が見えるようになった」という韓国の有名な古典小説「シム・チョン物語」をパロディ化したものだという。
マダン劇の本質は笑いと涙であり、大衆演劇の原点でもある。
途中「お祓い」のセレモニーがあり、数十人の観客が舞台にあがり、出演の踊り子の美女たちから、お祓いを受けたりでかなりの時間がとられ、「作品」としての完成度となると、やや疑問も生じたが、これもマダン劇の「大衆性」「参加劇」の形なのだろう。
太鼓や笛のリズムにのって、演者も観客も一緒になって踊り、愉しむ……よく、韓国の人達がちょっとした広場で酒を飲み踊る風景があるが、その延長線上にあるのかもしれない。
いずれにしても、こういう形で「近くて遠い国」といわれた日韓の民間レベルの友好が進むのは大変結構なことだ。