コラム


by katorishu
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追い込みにはいったチバリヨの稽古

 7月17日(日) 
 シーノ大宮で「チバリヨ」の稽古。諸々の情勢で3時間しかとれないので、すぐ終わってしまう。本日はオーケストラとの調整で、このほうは指揮の高橋勇太氏の仕事。
 主演の美代治、恵美子の演技は、前日の阿佐ヶ谷での「特別稽古」の成果があったようで、格段によくなっている。
 芝居の場合、稽古を何回、何十回と積み重ねることによって、お互いさぐりながら、よりよい方向にむかって手探りで進んでいくものだが、クラシック音楽では少々違うやりかたのようだ。
 とにかく時間が少ないので、試行錯誤を試みることがむずかしくい。
 時間の関係で、頭からの通し稽古にはならなかったが、全体の流れは見通せた。役者たちも気合いが入っており、ソリストの歌も向上しており、当初のもくろみである「感動」を生み出せることは間違いない。
 何度も聞いているので、耳に慣れすぎてしまっているが、合唱団の歌にもいいものがある。如安さんの曲には哀愁があり、そこに光が見えてきて、懐旧の情がわきあがってくるようにもっていけるといいのだが。

 資金がないので、演出的にいろいろやりたいことがあるが、最小限におさえなければならない。歌と台詞の力で、どこまで補えるかが「勝負」といったところ。さいたま芸術劇場の公演で、これほど「低予算」の公演は滅多にあるものではない。そんなマイナスの条件を、逆用して「それでここまでできるのか」という驚きをあたえたい。
 装置に金をかけ、派手に派手に……が主流だが、敢えてそんな流れに抗して、参加者の努力と能力を舞台空間に結晶させたいものだ。

 暑さもあって、少々疲れている人もいるが、本番にむかって体調jを整えていってほしいものだ。スポーツ選手のやるように。
 自己満足、仲間誉めではいけない。劇場に足を運んでくれた多くの人たちに「見てよかった」「心に残る」「感動した」「泣けた」といった「満足感」をもって、劇場を出て行くようなものにしたい。資金や稽古時間の少なさなど種々の条件は確かにあまりよくないものの、参加したからにはベストを尽くしてよりよいものにする。それが「プロ」の仕事というものである。
by katorishu | 2005-07-18 09:50