毛沢東秘録を読む
2005年 08月 01日
「毛沢東秘録」の上巻を数十ページ読む。産経新聞に連載されたもので、菊池寛賞を受賞した労作。いずれ執筆する予定のノンフィクションに必要な資料読みの一環だが、毛沢東という希代の人物や文化大革命とは一体なんであったのか、いろいろと考えさせられる。
文革期、北京監獄に5年2ヶ月も幽閉された日本人商社マンの体験について、本人との「共著」となる本。
権力というもののもつ魔力、魔性というものについて、あらためて深く考えさせられる。どんなに清廉潔白な人間でも、長く権力の座にあると腐敗する。「権力は腐敗する」という「公理」を毛沢東ほどの「大人」でも免れぬことができなかった。
人間は弱いもので、自らのエゴから逃れることはできない。権力を握る人間はもともと人一倍、己の「欲望」が強いのかもしれず、だからこそ一端権力の座につくと、その座に執着し、醜い姿をさらけだすのかもしれない。
一方、元来、無欲恬淡な人間はそもそも権力の座などにのぼることもないのだろう。
そのほか読み始めているのなカール・ヤスパースの「哲学入門」。
学生時代など若いときにもっと、哲学などの古典を読んでおけばよかったと改めて思う。しかし、後悔先に立たずとはよくいったもので、若いときにはそのことの意味が骨身にしみては分からない。わかったときは、もう「持ち時間」が限られている。
人間は後悔するために生きる動物である。