久しぶりに母の実家に
2005年 08月 14日
旧盆なので、相模川の上流、道志川ぞいにある母の実家に行く。神奈川県津久井郡青野原、前戸という地名。八王子から車でおよそ1時間。母はとっくに亡くなり、辺りの風景もかわっているが、まだ自然が残っている。
茅葺きの家は昭和32年に火事で焼失してしまい、家の隣にあった竹藪もなくなっているが。
昔は酪農と養蚕が中心の農業であったが、今や専業農家は一軒もなく、家で食べるだけの野菜類をつくっている。
母の弟の話では、以前、「前戸」という集落には18軒の家がたっていたが、バブル経済のころ急に人家が増えだし、100数十軒にのぼった。それが、長引く不景気の影響なのか、最近は空き家が目立ち、夜逃げする人もいるとか。
しかし、まだ家の裏の清水は残っていた。都塵にまみれた生活をしていると、こういう自然の豊かさを忘れてしまっている。この水は今でも飲める。以前、ここが食器類の洗い場であり、洗濯場でもあった。近くに石の挽き臼などもあって自給自足の面影を残していたのだが。
都会化の波がこの辺にもおよんでいる。ただ、今も 猪のほか、猿も群れをなしてやってき、畑の穀物を食べてしまうという。蝉の鳴き声に力があった。
この辺も相模原市への合併話がもちあがっているという。それとともに「前戸」という地名もなくなってしまう可能性が強い。地名の喪失とともに、なにかが決定的に失われてしまうにちがいない。