コラム


by katorishu
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自民圧勝という「世論調査」

 9月5日(月)
 衆議院選挙についての新聞の世論調査では「自民圧勝」という結果が出たとのことだが、ぼくはにわかに信じられない。この4年間の小泉政権のやったことで、評価に値するものなど、ほとんどないのに、「みんなお人好しだな」と思う。
 ちなみに、ぼくの周囲にはマスコミ関係者も含めて小泉支持者はほとんどいない。

 普段テレビを3時間以上見る層は「小泉支持」が高く、1時間以内の視聴者は低いと読売の英字紙が報じているという。テレビの影響力の強さと、日本人の多くが広告宣伝などに極めて弱く、情緒的であることを、あらためて示している。

 世論調査で小泉支持を表明したひとは、テレビでワンフレーズ・ポリティックスを繰り返す小泉首相を、「ヨン様」のように「かっこいい」と思っているのだろうか。
 テレビだけ見ていたのでは、日本の現実はわからない。週刊誌、総合雑誌、それに単行本なども読んで深く考え、批判精神をもっていないと、表層的なことしかとらえられないのではないか。
 自立した考えをもった「市民」ではなく、オルテガが規定しているような「大衆(マス)」。この層が相変わらず圧倒的多数をしめているのだろう。(オルテガはスペインの社会評論家で「大衆の反逆」という名著の中でマスを詳細に分析している)
 
 民主主義社会を支えるのは自立した考えをもった市民だが、何年たってもこの層が厚くならない。
 マスは昔から為政者やアジテーターに踊らされやすく、個人では何も出来ないくせに、集団となると強い力を発揮する。
 歴史を読めば、支配者に扇動れ踊らされる「マス」がいかに多いことか。マスを巧みに扇動した者が権力者になる点は、今も昔も変わらない。
 こう記すと「庶民をバカにしているのか」といわれそうだが、誤解しないでいただきたい。庶民とマスは似ているようでいて、まるで、ちがう。

 庶民は生活者として現実的であり計算高いものの、案外、さめた目で、したたかに世間を見ている。さらに、人間としての温かさや優しさをもっている。
 それがマスになると、一転し、情緒的、感情的になり、旗振り役の号令のもと、ワッとひとつの方向に走っていったりする。それでいて「損得勘定」だけは本能的に身につけている。
 同一の人間が「庶民」でありながら、時と場合によって「マス」になったりするので、厄介である。
 
 選挙に際して、マスとして対処してる人間が多い限り、本当の「民主主義」は根付かず、「既得権益」層が自己に都合のよいように作り上げた現今のシステムを崩すことは出来ないだろう。
 崩すにはとにかく「政権交代」しかない。じっさい先進国で、これほど長いことひつとに党が政権を握っていた国はない。
 民主党も自民党と大同小異だという人がいるが、決定的に違うことは民主党が「政権についていない」ということだ。つまり、 政官財の癒着の構造と距離があるということである。

 ぼくは別に民主党の支持者でもないが、政権交代をなし得る政党といったら、今のところ民主党しかない。
 一方、「小泉改革」とは、つきつめていえば、グローバリゼーション(アメリカ化、特にブッシュ政権の)によって、利益をあげる一部「強者」に有利な社会を作ることである。
 道路公団のあまりにもいい加減な「改革」を知れば、「小泉改革」の「改革」など「改悪」でしかないことに気づくはずだ。
 戦国武将を気取っているような人間に「白紙委任状」を与えると、将来に禍根を残す。

 ぼくはいわゆる「無党派」で選挙の度に投票する政党が変わることが多いものの、棄権はほとんどしない。しかし、白票を投じることはあっても、政権与党にだけは一度も入れたことがない。
政権交代こそが、日本を救う道の一歩だと思っているので。自民圧勝となると……弱肉強食が一層進み、中間層が欠落し、日本はさらに住みにくい国になる。

 
by katorishu | 2005-09-06 04:04