コラム


by katorishu
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「異常」から「正常」へ?

 11月12日(土)
 文藝美術健康組合が実施している過日の定期健康診断の結果が郵送されてきた。ずっと異常なしであったのだが、今回は、やや問題があるようだ。
 二次検診を受けることになる。
 ぼくの年代で、体のどこも悪くないほうが、「異常」なのかもしれない。みんなどこかに持病をもっている。「人並み」に「正常」になった、ということにしておこう。
 しかし、「異常なし」がつづいていただけに、嫌な感じだ。

 シナリオ塾の生徒のシナリオについて講評するため、近くのコーヒー店に出かけた以外、ずっと家にいた。資料の本のコピーや資料読み等々。
「駱駝祥子」を布団の中で読了。戦前の中国に生きる下層の庶民の哀歓を巧みな筆致で描いていて、最後まで読み通すのが惜しいくらい面白かった。人間の愚かさ、おかしさ、愛すべきところなどを、車引きの祥子(シャンツ)の視点から、鋭く切り取っていて、なるほどここに愚かしくも、確かな人間がいると感じさせてくれる。
 昭和20年代前半の日本社会のことを、ちらっと思い浮かべた。
 
 頭の中が少々濁っているようで、創作はあまりすすまない。昨日、外で酒を飲んだことが響いている。帰宅して、たこ焼きなどを食べてしまい、それが悪く作用し、嫌な夢を何度も見て目がさめた。寝る前の飲食は悪いとわかっていながら、アルコールが入るとブレーキが効かなくなってしまう。
 煙草は30年以上前にやめたし、いっそ酒をいっさいやめるか。そうすると、交友関係がぐっと狭くなるので、ほどほどに……ということにしておこう。
 知人の放送作家、南川泰三氏など一滴もアルコールを飲まないのに、じつによく酒席につきあっている。 昨日、北千住で飲んだなかに、南川氏がいた。ウーロン茶一杯で、よくつきあっていた。いろいろな人とつきあい話しをきく構成作家を長く続けていて、酒を飲まないという点は、見上げたものだ。
 飲まないけど、よくしゃべる。それも健康の秘訣なのかもしれない。

 東京は木枯らしが吹いた。秋も終わり、冬がやってくる。四季折々の季節があるということが、日本に住んでいることの最大の「幸福」かもしれない。もっとも都会暮らしでは季節感も、少々しか味わえないが。東京でも、ぼくの子供時代は、季節感がありすぎるほどあり、人々は季節の変化にうまく順応して生活の知恵を発揮して生きていた。
 そんな生き方が、そのまま子供たちの「教育」や「しつけ」となっていた。便利さを獲得したかわりに、日本人は何か大事なものを失ってしまった、と改めて実感する。
by katorishu | 2005-11-13 00:17