キャノンの儲けの秘密
2005年 11月 20日
会員制の雑誌のひとつに「テーミス」がある。そこで気になる記事を見つけた。
高収益を誇るキャノンだが、その秘密のひとつに、コピー機があり、じつは1枚とるごとに100円がコピー機の会社にいっているのだという。キャノンに限らずコピー機会社の多くがそのような契約を結んでいるという。
100万部を売り上げた『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者で公認会計士の山田真哉氏が、テレビ番組で触れたそうだ。
『キヤノンはじめコピー機業界は肝を冷やしたはずだ。実は、ここにキヤノンの高収益の秘密が凝縮されている』とテーミスは記す。
「大量消費する得意先にはディスカウントするが、多くの得意先からはモノクロ1枚で10円取れる」(関係者)
『トナーを中心とした消磨品の補給や故障時のメンテナンス対応をすべて排出枚数に置き換えて課金する、コピー機独特の契約形式の「カウンターチャージ方式」では、コピーを1枚取るごとにこの額が課金されている。コピー機単体からプリンター、ファックス機能も付加した複合機に移行することで、さらに課金対象は広がった。
日本で稼動するコピー機の実に約90%がこの契約を結んでいる。一般のサラリーマンには、未だにこの仕組みはほとんど知られていない。』
キャノンは'05年12月期、6期連続の増収増益を成し遂げ、ともに過去最高を更新。連結売上高は3.7兆円弱、本業の稼ぎである営業利益は5千800億円弱を見込む。営業利益率は実に16%弱と、御手洗冨士夫社長が就任した10年前と比較して倍以上に跳ね上がった……とのことだ。
さらにこう記す。
『キヤノンの成長の歴史はこの課金モデルの精緻化の歴史でもある。家庭用のインクジェットプリンターを見てもわかるように、コピー機能、スキャナ機能までついた複合プリンターが1台2~3万円と格安で店頭に並んでいる。一方、交換用のインクとなると1本数千円とバカ高い。当然、純正ブランドとは異なるサードパーティが出てきてしかるべきだが、その姿は皆無だ。それこそが、国内最大級の布陣を敷く「キヤノン特許部隊」の成果だ』
日頃からパソコンのインクジェットプリンターのインクが割高であると感じていた。パソコン等の器機の値段は下がっているのに、インク代はまったく下がらず、「これで儲けている」と思っていたが、やっぱりそういうことでしたか。
ぼくなど比較的、多量の印刷をするので、すぐインクがなくなってしまう。スペアーインクで補うこともあるが、インク代の高いことは痛感していた。以前、富士通のワープロなどワープロリボンが割高だと思っていたが、いまや、プリンターのインク代の高さが際だつ。
これで儲けていたのですか、キャノンさん。
すでにパソコンや周辺器機は「公共的な役割」を担う「公共財」の観がある。一社独占をやめて、価格を下げないといけませんね。
こいう記事は企業の広告に頼るテレビ局はもちろんのこと、新聞、雑誌なども、ほとんどあつかわない。広告に頼らないテーミスならだはの記事である。会員制の雑誌にはほかに国際関係の情報を多くのせる「選択」や新潮社の「フォーサイト」などがある。
こういう雑誌も読んだりしないと、世の中のことはよくわからない。
以前、「テーミス」と「選択」を定期購読していたのだが、「経費節減」のため定期購読をやめたしまった。こういう記事に接すると、復活しようかどうか考慮中だ。
未読の方は一度読んでみてください。他の雑誌、週刊誌などとは違った切り口、角度から迫るユニークな記事がかなりあります。
本日は2時半よろ5時半まで、高田馬場でシナリオ義塾の講義。