コラム


by katorishu
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床の中でテレビを「聞く」

 11月20日(日)
 朝、床の中で携帯ラジオでテレビを「聞いた」。最近、テレビをあまり見なくなった。かわりに、しばしば「聞く」。
 TBSの報道番組に、宮沢元首相と日本総研理事長の寺島実郎氏が出て、小泉首相の外交政策について話していた。寺島氏の論文や見解などには日頃から賛同することが多いので、思わず耳を傾けた。
 小泉首相のブッシュ政権べったりの政策を両氏とも批判していた。宮沢元首相は非常に婉曲で柔らかい表現ながら、アメリカべったりのアメリカ外交、アメリカとの同盟さえうまくいっていれば、それでよしとする小泉外交は、よくないと話していた。

 寺島氏は、日本がアジア諸国から目をそらし、アメリカべったりの政策をとることの危険性について触れていた。あの吉田元総理でさえ、敗戦後の「現実」をふまえアメリカよりの政策をとっているものの、将来的にアメリカ追従は日本の国益にそわず、多角的な外交を展開しなければ……といった意味のことを話していたとか。
 戦後、国際社会から孤立した日本がアジア諸国、とりわけインドのネール首相やガンジーなどからどれほど好意的に手をさしのべてもらったか、それによって国際社会への復帰が早まったか等の事実を忘れてはいけない、と寺島氏は指摘し、日本が「アジアの一員」であることを忘れてはいけないと強調した。
 
 ぼくなどもまったく同感である。
 小泉首相の頭の中には「冷戦構造」がビルトインされてしまっているようで、アメリカとの同盟を強化してさえいれば間違いない、といった論理を展開する元外交官の岡崎久彦氏らの論理にどうもひきずられているようだ。
 経済の低迷を「繁栄」をとげるアメリカとの同盟、連携強化によって回復させようとする財務省の官僚などの思惑も考慮しているのだろう。それとアメリカ式市場経済をなにがなんでも日本に定着させようとする竹中大臣の論理にのっているのだろう。

 「既得権益」にべったりとすがりつく層を、崩壊させることも大事かもしれないが、将来的に日本の運命を決する「外交」では、もっと「歴史の教訓」を学んで欲しいものだ。
 アングロサクソンの主導した旧植民地主義。どうも、ブッシュ政権のやろうとしていることは、その延長のような気がする。自分たちの利益にあわない国家や組織は力でつぶし、自分たちに都合のよいシステムを世界規模で構築しようとする。

 世界にはもっと様々な価値観があるはずである。
「幸福」や「善意」の押し売りほど、厄介なものはない。北朝鮮など「人権抑圧」国家を崩壊させることは必要だが、アメリカ的民主主義で世界を覆い尽くし、それこそが人間が唯一幸せになれるシステムと考え実行しているとしたら、思い上がりもいいところである。

 ハリウッド映画ばかりが「映画」となったら、これほどつまらないことはない。
 人間の価値観や幸福感は多様である。コンビニ、ファーストフッド、スーパー等々、どこにいっても同じようなものを売る店ばかりになろうとしている今、アメリカ追従をもう一度見直したほうがいい。
 日本はアジアの一員であることを忘れてはいけない。アジア諸国との共生をもっと考えなければ「アジアの日本」の首相としてふさわしくない、と改めて思ったことだった。

 更に床のなかで、東京女子国際マラソンの中継を「見る」のではなく「聞いた」。
 ちょっと歩けば、第一京浜国道にいけ、実際に走る高橋尚子ら女子マラソンの選手の走りを見ることも出来るのだが、床にいて本などを読む方を選んでしまった。
 午後、小林政広監督の「バッシング」を朝日ホールに見にいく予定だったが、仕事が予定通り進まず、やめにした。小林氏のトークなどもあり、終わってから歓談できるかとも思ったのだが、持ち時間がいつも少なすぎる。神様が人間に公平に分け与えてくれたもので、誰にも文句をいうことは出来ないが。
by katorishu | 2005-11-20 23:28