コラム


by katorishu
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奇跡的に財布が出てきた

 11月22日(火)
 北千住駅近くの銀行のATMコーナーにカード入りの財布を忘れてしまい、5時間ほどたって気づき、慌てて銀行に走ったが、すでに閉店。その場にあった電話で問い合わせたところ、すでに関係者は帰宅し、23日は祝日なので24日にならないと連絡がとれないとのこと。

 すでに誰かに拾われ使われてしまっているかもしれない、と蒼くなった。とりあえずカード会社等に連絡をし、紛失届けを出そうと思ったところ、目の前に交番があった。もしやと思って駆け込むと、デスクの前で警察官が拾得物の書類を書いている。その手元に見覚えのある財布があった。「あ、それわたしのです」安堵とともに力が抜けた。傍らでは迷子になってしまった子供の若い母親が泣いている。まるで下手なドラマの1シーン。それにしても、書類作成に時間のかかること。「銀行がからむと1円の間違いでも問題になるんです」と年配の警察官。

 銀行員が忘れ物に気づき保管していて、いつとりにくるかと待っていたが現れないので、交番にもっていったところだった。警官は「謝礼を」と話していたが、銀行では本人に無事返ったので、規則だから「謝礼などは結構です」とのこと。

 治安が悪化しているといわれる日本でも、こういう「奇蹟」が起こるのだ、と思った。じっさい、なくしたと気づいたとき一緒にいた数人の放送作家の諸氏はみんな一様に「5時間もたってるんでは、でてこないだろうな」という顔をしていた。
 彼等と本日飲食することになっており、ぼくがあとから居酒屋にかけつけ「出てきた」というと、5,6人の人たちが拍手喝采。

 たまには、こういうこともあるのですね。他の国だと、まず出てくることはむずかしい。日本に住んでいることの「ありがたさ」をつくづく実感した日でした。ちなみに、銀行は三井住友銀行でした。

 この銀行には1万円で通帳をつくったままで、その後、転居しても住所を知らせておらず、そもそも通帳をどこへしまいこんだかも、よくわからない状態だが、もっと活用しなくては……と思って、思い直した。預けるべきお金などないではないか。いずれ拙作がベストセラーにでもなったら(その可能性は1パーセント以下だが)、印税の振り込み先はこの銀行にしようと思ったことだった。
by katorishu | 2005-11-23 15:43