コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

2017年の日本

 11月24日(木)
 「団塊の世代」の二人と夕方、渋谷で歓談。一人はテレビ関係者、一人は出版関係者であったが、少子高齢化が話題の中心だった。
 団塊の世代が定年退職する2007年が「2007年問題」として話題になっているが、怖いのはさらに10年後、団塊の世代が70代になったときではないか、とこれはぼくの意見。

 60代はまだ元気だから、働ける人は働けばいい。しかし、70代になると加齢故の衰えはどうしようもない。その上の世代も含めて、他人の介護を必要とする人数は現在よりはるかに多くなっているにちがいない。

 一方、そんな膨大な老人を支える青年、壮年はそう多くはないし、昔のように「親孝行」など死語になっているので、「老人の世話なんか嫌だよ」という層もまた増えるに違いない。
 そうなると、どういう光景が展開するか。
「これは近未来小説として格好の素材だね」と3人の意見が一致した。医学のさらなる進歩で人はますます長寿になる。癌の特効薬が開発されたら、平均寿命はさらに高くなるだろう。
 
 長寿は慶賀すべきことだが、実際問題として逆ピラミッド型の人口構成では老人層を支える人間は決定的に足りなくなる。老人のかなりの部分は不要品として「廃棄」の運命をこうむるかもしれない。
「日本民族に対する最大の貢献は、役に立たなくなった老人が命を絶つこと……といった世界がやってくるかもしれない」という話になった。

 これに世界的な人口爆発で、食糧が足りなくなると、文字通り「人が人を食う」状況だってありえないことではない。ヒトラーがユダヤ人に対して行ったことが、日常の風景となる悪夢のような世界が到来しないとも限らない。

 もしかして深刻な疫病か戦争が、人減らしに貢献することになるかもしれない。
「今の若者の根性のなさ、頼りなさを思うと、未来は相当深刻」という点でも3人の意見は一致した。

 こうなる事態を政府、官僚もわかっていたはずなのに、有効な手だてをとらなかった。2,30年前から少子化へ手を打っておくべきであったのだが、この点でも危機がすぐ目の前に迫ってこないと何もこうじないないのですね。この問題は個人の努力などの領域を越えた問題である。

 子供を産み育てることにあまりに負担がかかりすぎる現在のシステムを変えない限り、解決しないだろう。教育費なども高すぎるし、子供をもつことの「メリット」も少ない。別に「メリット」で子供を産むわけではないのだろうが、昔の人は自分の老後の幸せのために、子供を産んだのであり、それは決して悪いことではない。

 中国の話だが……川で母と妻と子の3人が溺れ、一人しか助けられない状況に陥った場合、誰を助けるか。日本であったら、まず「子供」ということになるのだろう。が、中国では、まず親からであるという。子供は死んでしまっても、また作れる、しかし、母は死んだらそれでおしまいで、代替がきかない。だからこそまず母から助ける。これが中国の常識であるという。

 妻はとっかえがきくので、最後になる可能性もあるが、子供を産めることからやはり2番目なのか。いずれにしても、子供は真っ先に助けるのではなく最後にまわす。
 これが「動物」としての人間の理にかなった行動なのだろう。
 今の日本は自然の摂理に反して子供に過剰に甘すぎる。甘く育てることは、動物の世界では死に直結する。
 人間も動物から学んだほうがいい。動物の生き方には実に教えられることが多い。動物は食べたり愛玩したりする対象ではなく、そこから学びべき「教師」である。そんな謙虚さを持ち合わせないと、人類の絶滅は早いのではないか。
 3人して紹興酒で中華料理を食べながら話したことだった。 
by katorishu | 2005-11-25 00:28