コラム


by katorishu
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マンション設計偽造問題の国会中継を見る

 11月29日(火)
 久しぶりにテレビで国会中継を見た。例のマンションの耐震構造の偽造問題で、国土交通省の委員会が開かれ、関係者が参考人として呼ばれた。
 偽造設計を行った当の設計士が欠席したので、焦点がややぼけてしまったが、それでも関係者の責任回避と他へのなすりあい劇の一端は垣間見ることができた。

 ヒューザーとかいう売り主の社長が、怒声を発するところなど、彼の本性が暴露され、この業界の暗部をのぞきみる思いだった。
 乱立するマンション業界でも「低価格」競争が熾烈になっている。安く売ってしかも利益をあげるには、「手抜き」を行うしかなかったのだろう。
「職人」としてのモラルなど、かけらもない。「グローバリゼーション」が日本に導入されてから、こういう傾向が社会全体に広がっているようだ。
 中国の「社会主義市場経済」などでも、至るところに不正がはびこっている。
 
 今回の件はこの業界の「氷山の一角」で、まだまだいろいろな問題が噴出してくるに違いない。アスベストの問題などもふくめて、効率化、能率化の「負」の部分がこれから顕著になってきて、「当たり前」になる事態も想定される。こういう現象を「末世」という。
 
 便利さ、快適さこそ「最高の幸福」といった価値観から脱却しない限り、今後、人口過剰な地球上で、さらに悲惨な事態が日常的に起きるにちがいない。
 人類は「滅亡」のコース」にはいったというのが、ぼくの個人的な見解である。地上に自然に存在する以外の物質、科学物質や原子力などをつくりだし「自然の摂理」に反することをやったことで「神の怒り」をかったと言えないこともない。もっとも、ぼくは「葬式仏教徒」で、宗教心は薄いが、人類が「やってはいけない域」を越えてしまったことは間違いない。
 地球が永遠ではないのだから、人類にも早晩、終わりがくるのだが、それが早まったという気がしてならない。

 もっとも、ぼくが生きている時代に、そんな破滅が一挙にやってくるとは思えないが、衰亡への坂をころげはじめていることは、間違いなさそうだ。
 動物の一種類であることから、飛躍して、傲慢になってしまった人類。とくに先進国が築きあげて文明が、かえって文明を滅ぼすという構図。ひとりひとりが物質的幸福を求めて頑張れば頑張るほど、天然資源は枯渇し、自然環境は悪化し、取り返しのつかない状況に地球を追い込んでいく。
 賢明な人間はよくわかっているのだが、多くの人は立ち止まることができない。「競争社会」という名の「グローバリゼーション」が全地球的にひろがってしまった現在、「立ち止まる」ことは、すなわち「敗者」への転落を意味するので、みんなとにかく走り続けるしかない。ビジネスの社会に於いて顕著である。
 天然資源の枯渇や自然環境の悪化に苦しむ100年後、200年後あたりの人類は恐らく、「20世紀から21世紀にかけて生きていた俺たちの先祖は、ほんとうにとんでもないことをしてくれた」嘆き怒るにちがいない。
 国会中継の登場人物たちの責任回避の言葉を耳にしながら思ったことだった。
 
by katorishu | 2005-11-30 00:30