品川宿の古い町
2005年 12月 07日
品川図書館近くの「新馬場北口通り」に初めていった。新馬場駅周辺は商店もほとんどない辺鄙な所だと思っていたのだが、この商店街を「発見」して、嬉しかった。
旧東海道につながる路地の両側に、いかにも下町風の古い個人商店が軒を連ねており、昭和30年代、40年代に通じる空気がまだ残っていた。
手焼き煎餅屋、和菓子屋、ここには「賃餅つきます」の懐かしい表示もあった。さらに呉服屋、大衆食堂、三味線屋、昔の小さな町の喫茶店、スナック、キッチン、鴨料理屋、ふぐの大衆割烹……等々、チェーン店が跳梁跋扈するなか、零細な「個人商店」が細々とながら生き残っていた。
駒沢に住んでいたときよく足を運び「町の書斎」のひとつであった「ベローチェ」を見つけたときは思わず顔がほころんだ。店内が広く、禁煙コーナーがあるのもいい。店が小さいと、たとえ禁煙コーナーがあっても、喫煙コーナーから煙りが漂ってきて煙りを多量に吸い込んでしまう。
ベローチェで創作し、いったん店を出て、図書館で執筆、閉館後、またベローチェにもどって執筆。広い店ですいているから出来ることだ。おかげで、執筆がはかどった。計8時間強、外で執筆していたことになる。
この界隈まで家から歩いて10数分。「近代的」な天王洲アイルのビルからも10数分のところに、こんな一角があったのである。近頃、珍しく「心が温かくなった」一日だった。