短編戯曲のオムニバス
2005年 12月 14日
世田谷の松陰神社の近くにある小劇場「スタジオAR」でレクラム舎の公演「ベンチ2」を見る。
住宅街の中にある地味な劇場で7,80人が入れるという。「ベンチ1」は今年の冬、三軒茶屋の小さなスタジオで「短編戯曲」3編を公演し、ぼくも1編を書いた。
今回は小松幹生氏作の4編の短編の公演という「オムニバス」。全回と同じ「風が吹く」のほか、新作で「昼休み」、「たそがれに」「今宵は月も」。
いかにも小松氏らしい、言葉と言葉の綾や言葉尻をとらえた男女間の微妙な心理を、切れ味よく描いている。
基本はコメディなのか、と改めて思った。
主宰の一功氏の夫人でもある松坂わかこが好演していた。「風が吹く」は松坂、西本泰輔ともに、全回よりよくなっていたと思う。「たそがれに」の岩手太郎氏と観世葉子氏の両中年俳優の味のある演技も哀歓が滲み出ていて味があった。
「今宵は月も」は、一功氏と松坂わかこの「現実の夫婦」同士が、舞台上で「男女の感情の齟齬」を演じる。
稽古で、夫婦であることから、ちょっとしたトラブルめいたこともあったということで、「稽古に私生活をもちこむな」との声も。この回は若い中村和彦の演出。もちろん、ジョーク半分のことだが。劇団レクラム舎も、経済的には多くの小劇団の通弊で楽ではないようだが、よく頑張っていて、今後の発展が楽しみだ。
終わって近くの大衆食堂の奥の座敷で出演者、スタッフ、御客などもまじえ飲食。界隈でも例をみない値段の安い食堂。古い作りでまったく飾り気はないが、値段の安いのは大歓迎だ。
刺激され、短編を書いてみたい気分になった。