若者中心のミュージカルを見る
2006年 01月 30日
下北沢の本多劇場で公演中のミュージカル「ジ・芥川ショウ」(横山由和脚本・演出)を、急遽見にいく。主催の「ステップス」および「文藝プロダクション」のプロデューサーの岩間佳子氏からの連絡で、時間があったら見て欲しいとのこと。去年の夏、お会いしたとき、ぼくが丁度「ミュージック・ドラマ」の「チバリヨ」の脚本・演出を担当したあとであったので、「そのうち、何か音楽劇を一緒にできたら」という話になった。
その後、ぼくのほうもボランティア活動その他「生業」で忙しく、そのままになっており、転居案内も出し忘れていたのだが、携帯に電話があったのである。作演出は中年の人で「音楽座」の創始者のようだが、「ステップス」は若い人中心のミュージカル劇団であり、今後の参考のために見ることにした。
音楽の強さを改めて感じた。小劇場だと、台詞が強いが、やや広めの劇場だと音楽の迫力にはかなわないところがある。ただ、深みとなると別の問題だが。
30人近い出演者で、とくに主役がいるわけではなく、全員が主役ともいえる舞台だった。
芥川龍之介の短編小説の「杜子春」「舞踏会」「蜘蛛の糸」「奉教人の死」「藪の中」をちりばめた内容で、狂言回しとしてバスの運転手と車掌を配し、さらに若い男女の恋愛模様をからませる。構成が難しい内容で、どうしても総花的になりやすい。
人の作については何とでもいえるのだが、若い人をひっぱってここまで仕上げるのは大変なことだと思う。若々しく迫力ある舞台は、楽しかった。今の時代「楽しい」「嬉しい」というのが一番欠けている要素です。